カルテットは悩んでいた。
ひとみ「あたしが言うのは凄くおこがましいんですが…最近女王様凄く頑張ってますよね。」
あすか「ウエイトレスの…仕事…。調子…良い…みたいです…。」
ひとみの母親である元女王アリ・ゆきこは呪詛悪魔を経て今はフリーの守護天使と非常に波乱万丈の生涯を送ってきているのだが、現在は生活費を稼ぐためにウエイトレスのアルバイトをするなど女王のプライドも捨て勤勉な生活を送っているのである。
みゆう「それにつぐみちゃんのお母さんも女王様のお仕事頑張ってるんだよね!」
まゆり「それはわたくしも聞きましたわ。」
カルテットの「めいどの世界」仲間であるつぐみの母親である元オオスズメバチの女王・いおも人間世界での生活をエンジョイしつつSMクラブで働いていることは4人ともひとみ経由で知っていた。
そこでカルテットの悩みというのは…
ひとみ「女王様も頑張ってこちらの世界で精一杯生きているのに…。」
みゆう「あたしたちはご主人様に守られてばっかり!」
あすか「それでは…あんまり…情けない…です…。」
まゆり「このままでは守護天使失格ですわ!」
4人はそれまでは光彦との割としょうもなかったり他愛のなかったりする日常を素直に楽しんできたのだが、元女王ながら人間世界に溶け込まんとするゆきこやいおの姿を見てそんな日々を送り続けることに対する不安が急に頭をもたげてきてしまったのであった。
光彦「…で、『めいどの世界に帰りたい』ってそういうことなんだね。」
数時間後、カルテットの4人は思いつめた表情で光彦の前に正座しその思いのたけをぶちまけたのである。
ひとみ「はい。このままではあたしたち何も変われない気がして…。」
みゆう「ゆきこちゃんやいおちゃん、女王様なのに頑張ってる!でもあたしたちは…。」
まゆり「ご主人様のためにも力を付けたいのです。」
あすか「分かって…下さい…。」
そんな4人を前にしつつ光彦は無言で考え込んでいたが、やがて意を決したかのように口を開いた。
光彦「うん、確かに僕のためにそう思ってくれるのは嬉しいよ。でもそうやって焦るのは決して正しくないと思う。」
まゆり「どういう…ことですの?」
光彦「僕は今のみんなが凄く好きなんだ。5人で一緒に話したり、ご飯を食べたり…。そうするだけでも僕は毎日が元気になっている。それってもう十分『僕のため』になっているんじゃないかな。違う?」
ひとみ「そ、それは…。」
光彦「それに…本音を言うとね、もう僕はみんなと1日でも離れたくないんだよね。…そう僕が思うこと自体がみんなの凄さだと…思って…?」
ひとみ&みゆう&あすか&まゆり「「「「ご主人様!」」」」
照れながら頭を掻く光彦がえっと思う間もなく4人は光彦に飛びついていた。
まゆり「ご主人様!ご主人様がご主人様で…わたくし…とっても幸せですわ!」
あすか「わたしも…です…。」
ひとみ「本当にありがとうございます!」
みゆう「これからもよろしくね!」
光彦「う…うん…分かったけど…さすがに4人一斉だと重いかな?」
自分たち5人は5人ならこれからも一緒に楽しい生活を送っていけるだろう。その思いを同じくし未来に思いを馳せる光彦・ひとみ・あすか・みゆう・まゆりの心の中は明るく温かい光に満ちているのであった。
おわり
エマステの皆様のお勧めもあり、夢カル誕生17年にして一つの区切りを付けることにしました。もっともあくまで話の結末がこうというだけでイラストやネタ SS 作りは今後も楽しんでいきたいなと思っております。