夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.37「メイドファイターまゆりの危機」

饗介の超能力にまゆりは吹き飛ばされ、背後の大木に思い切り叩きつけられた。そして、まゆりはあたかも大木に磔になったかのような状態へと追い込まれた。

まゆり「…っううっ!」
饗介「どうやら形勢逆転のようだね…。」
まゆり「うう…。」

饗介は、左手をかざしたまま(これでまゆりを押さえつけている)、やや離れたところから磔になったまゆりと相対していた。

饗介「さて、俺は今のまゆりちゃんの弱点を知っているわけだけど…。」

これもウソである。しかし、今のまゆりは磔にされて心細い精神状態である。おまけにまゆりは、変身を教わっていた時からバッジに対して神経質なほどの心配りをしていた。そのため、まゆりはまんまと饗介の術中にはまってしまった。

まゆり「え、バッジ…はっ!」
饗介「バッジかあ…。よく話してくれたねえ…。」
まゆり「謀りましたわね?」
饗介「だまされるほうが悪い。じゃあ、バッジを攻撃するとしよう。」

饗介は右手を前に出し、念力をバッジに仕掛けた。饗介の念力が、まゆりの胸に輝く変身バッジをとらえた。

まゆり「ああっ!」
饗介「では…ハーンド・パワー!」

饗介は、念力で力任せにまゆりのバッジを握り締めた。そしてとうとう…
バキッ!
バッジはひびが入れられ、その輝きを失ってしまった。それと同時に、まゆりの変身が解け始めた。

まゆり「ああ…だめぇ!」

まゆりの戦闘用メイド服は全て変身中のような白い半透明のリボンとなり、そのリボンが少しずつほどけてまゆりの体から離れ、まゆりの胸にある破壊され、もはや輝きを失ったバッジへと吸い込まれていく。
そして、リボンが半透明であるので、その下やリボンの隙間からからまゆりの裸体が垣間見える。その様子を饗介は興奮したようは表情で見入っていた。

まゆり「あ…あ…。」

まゆりはか細い、しかし悲痛な声を上げた。変身が饗介の手によって解かされていく不安感と絶望、そして饗介に自分の裸体を見られる屈辱感のせいで、まゆりの表情は今にも泣きそうなものとなっていた。
その間にも、まゆりの変身は容赦なく解けていき、裸体を隠す部分も減っていく。
そしてとうとう、戦闘用メイド服であったリボンは完全にバッジへと吸い込まれてしまった。まゆりは一瞬全裸となった後、変身前の着物姿に戻ってしまった。まゆりの胸にあったバッジが力のない音を立てて落下した。

まゆり「変身が…。」

変身が完全に解けてしまったまゆりは、声も表情も半泣きの状態であった。
とここで、まゆりを磔にしていた力が緩められ、まゆりは地面へ崩れ落ちた。

まゆり「こんなことって…。」

まゆりは深い絶望感と敗北感に包まれていた。そして、その後の自分について最悪の結果を覚悟した。それでも、まゆりは自分の中の最後のプライドを振り絞り、精一杯の気丈な態度で饗介に向かった。

まゆり「まだ…わたくしの負けが決まったわけではありませんわ…。」

しかし、饗介がとったのはまゆりにとっては意外な行動であった。

饗介「…何か、もういいや。それじゃ、さらば〜!」

饗介は、不自然なほどの前傾姿勢で、一目散に消えていった。
饗介が消えたのと同時に、まゆりの通常ではない声を聞きつけたカルテット残りの3人が公園に駆けつけた。

みゆう「まゆりちゃん!」
ひとみ「大丈夫ですか?」
あすか「このバッジは…まさか…!」
まゆり「皆さん…。う…う…うわーん!」

仲間たちの顔を見て、安心感を得たまゆりの心の中で何かが切れた。そして、あすかの胸にしがみついて泣きじゃくった。
そしてしばらく泣いた後、まゆりは3人に、饗介にいたずらされたこと、変身して饗介と戦ったこと、そして饗介の手で変身を解かされて裸体を見られてしまったことを、悲しみでしゃくりあげながらも話した。

まゆり「もう…悔しくて…恥ずかしくて…。それに…怖かったですわ…。」
あすか「よしよし…。怖くないよ…怖くないよ…。」

あすかは自分の胸に顔をうずめるまゆりを慈しむように撫でた。その結果、まゆりの心は平静を取り戻した。
その後、4人は、まゆりの変身を解かせたあとの饗介の行動を不思議がった。

ひとみ「それにしても、ここまでまゆりさんを追い詰めたのに、何故あっさり帰ったのでしょうか?」
みゆう「それはあたしも不思議。」
あすか「…!あの…あいつは…念写…できますか…?」
まゆり「はあ。それでゆすられたこともありますが…はっ!」

4人の中に、あるおぞましい光景が浮かんできた。
果たせるかな、4人の予想通りの行動を饗介はとっていた。

饗介「よーし、いい光景だったぜ!早速カメラ買って念写するぜ!」

そう言いながら饗介は街を駆け抜けて行った。
一方、まゆりの中に再び羞恥心が目覚め、再び涙が流れ始めた。

まゆり「もう…どうしたらいいか…。」
ひとみ「泣かないで下さい!今度は一緒に戦いましょう!」
みゆう「そうだよ!みんなでやれば怖くないよ!」
あすか「わたしたちは…まゆりさんの…味方です…。」
まゆり「あ…ありがとうございます…。」

こうして、以前より結束が強まったカルテットであった。
その後、まゆりはあやに頼んで新しいバッジをもらった。そして、折を見て変身し、戦いの練習をするようになった。それは他の3人も同じであった。今日の日の屈辱をこの手で晴らすために…。
一方、饗介とその親友の洋は…

洋「おい、すげーな!これ!」
饗介「だろ?もっとあるから楽しもうぜ!…あ、今度記憶を映写する機械を作れよ!」
洋「おう!」

そんなカルテットの気持ちも知らず、ひたすら楽しむのであった。
こんな2人に天罰が下る日、あるいはカルテットに雪辱される日は果たしてくるのだろうか?

おわり


前回の続編です。「強力な敵の手によって変身を解かされるシーン」が今回の肝です。ぞくぞくします…すみません。


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