ふと気がつくと、まゆりは白いカプセルの中にいた。
(ここはどこなのでしょう?そうか、これから羽化ですわ。いよいよご主人様に逢えるのですね…。)
そう思った瞬間、まゆりの腹に激痛が走った。
見ると、謎の生物がまゆりの腹を食い破り、今にも外に出んとしていた。
???「ふははは、残念だったな、まゆり。
お前は羽化することなく俺様への捧げものとして今ここで一生を終わるのだ。」
まゆり「ご主人様…助けて…助…。」
その瞬間、まゆりは目覚めた。
まわりを見まわすと、暗い部屋に光る豆電球、寝ている仲間たち…紛れもない現実世界である。
(そう…今のは夢…。遠いあの日、寄生バエに殺された記憶から今も抜け出せないのでしょうか…。)
その時、まゆりの中にふとした疑問がわいた。
(そう言えば、他の仲間たちはどういう夢を見ているのでしょうか?)
そう思ったまゆりは、聞き耳を立ててみた。
ひとみ「痛いよ…ご主人様…苦しいよ…。」
あすか「…息が…できない…ご主人様…。」
みゆう「ご主人様…みゆちゃん…まだ…死にたくない…。」
(…皆さんトラウマから抜け出せないのですね…。あ、そう言えばご主人様はどんな夢を見ているのでしょう?)
そう思ったまゆりは、光彦の枕もとに向かい、そこで再び聞き耳を立ててみた。
光彦「ああ…天ぷらがおそってくる…大豆じゃ…だめですか…。」
(結構くだらない夢を見ているのですね。ふふ、結構かわいいですわ。)
寝言を言う光彦を見て、まゆりはほほえましい気分になった。
しばしの後、光彦は再び何かを言い始めた。