夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.2「アニゴンの来襲」

その夜、四人が寝静まった後、教一の光彦に対するアドバイス(というか、イヤミ)が始まった。

教一「お前が女の子とうまく付き合えるようで俺は安心した。でも今のままじゃまずいよ。」
光彦「何で?」
教一「女の子達はべらしているのは何か不誠実だし、それにあの子達、なんか変だよ。付き合うべきじゃないよ。」
光彦「大きなお世話だよ。あの子達はいい子だよ。」
教一「俺はお前のことを思って言ってるんだぞ!」
光彦「それが嫌なんだよ!」
教一「じゃあ勝手にしろ!」
光彦「そっちこそ!」

かくして、兄弟の会話は決裂した。

翌朝、兄弟間には気まずい雰囲気が流れていたが、とりあえず光彦以下全員で駅まで教一を送ることになった。
道中、光彦は、

(兄貴の奴、何も知らないくせに…大体昔からうるさいんだよなー。)

などと、兄に対する不満で頭がいっぱいだった。
歩いて行くと、かなり交通量の多い通りを横断歩道で渡ることとなった。
まず、教一、ひとみ、みゆうが渡り終え、ついで光彦が渡り始めた。

と、その時、暴走車がフルスピードで光彦に向かって突っ込んできた。
だが、考え事をしている光彦はそのことに全く気づかない。

(あ、危ない!もう終わりか!)

そう教一が思った瞬間、

ひとみ&みゆう「ご主人様、危ない!」

と、ひとみとみゆうが飛び出し、見事光彦を暴走車から救い出した。
とはいえ、光彦の足からはかなりの出血があり、その顔は苦痛でゆがんでいた。
さらに、ひとみとみゆうは腕をすりむいていた。

ひとみ「ご主人様、大丈夫ですか?」
みゆう「大変、血が出てる!」
光彦「いや、僕は大丈夫だけど…君達も血が出てるじゃないか?」
ひとみ「あたしたちはいいんです。」
みゆう「ご主人様が助かってくれて、嬉しいの。」

道を渡る前だったあすかとまゆりも駆けつけた。

あすか「私は救急車を呼んできます。まゆりさん、応急処置をよろしくお願いします。」

そう言うと、あすかは公衆電話に向かって走り出した。

まゆり「ご主人様、ひとみ、みゆう、大丈夫ですか?とりあえず血を止めます。」

まゆりは、着物の袖を破り、出血箇所に巻きつけた。

光彦「みんな、ありがとう。」

一方、教一は道の向こうで起こっているスペクタクルをただ呆然と見守るだけであった。
やがて救急車がやってきた。


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