夢追い虫カルテットシリーズ

特別編「新人隊員奮闘記(第三回ファン招待)」

なたね「こんなところに逃げても、逃げ道はないよ!さあ、観念しなさい!」

だが、幸輔は余裕満々であった。

幸輔「君は9級の隊員だね。バッジ(戦闘用メイド服の胸の部分についている。戦闘用メイド服への変身アイテムも兼ねていて、破壊されると変身が解けてしまう。)で分かるよ。そんな君にはお兄さんは楽勝するんだね!だから人目につかないここで君を殺してあげよう!」

その言葉に、なたねは燃えた。

なたね「ボクはあなたなんかに殺されないよ!これを食らえ!」

そう言うが早いか、なたねはくないを投げつけた。だが…

幸輔「ハイ!」

幸輔が手から出したエネルギー波によって、くないは溶かされてしまった。

幸輔「ドロドロになっちゃったね!」
なたね「くく…。これならどうだ!乱れ撃ち!」

なたねはくないを多数、そして素早く投げつけた。しかし、それでも幸輔は

幸輔「ほいさ!」

エネルギー波で余裕の応戦をするのであった。それでもなたねはあきらめなかった。

なたね「ボクは負けない…。乱れ撃ち!」
幸輔「よっと!」
なたね「えい!」
幸輔「溶解!」

やがて…

なたね「あ、あれ…?」
幸輔「どうやら使い切ってしまったようだね。じゃあ今度はお兄さんから行くよ!弱点攻撃!」

幸輔は、小さなエネルギー波を発射した。そのエネルギー波は、寸分の狂いもなくなたねのバッジをとらえた。なたねのバッジは破壊された。それと共になたねの変身も解け始める。

なたね「あ…あ…。」

なたねはあせっていた。しかし、変身の解除を止めることはできない。やがて、変身は完全に解け、なたねは元の服に戻ってしまった。

なたね「変身が!」
幸輔「これで君もただの凡人だね!じゃあ、君を殺させてもらうよ!」

幸輔はなたねのお腹にエネルギー波を打ち込んだ。

なたね「ぐがっ!」

なたねは血へどを吐いて後ろへと吹き飛んだ。戦闘用メイド服を着ていればこの程度の攻撃には耐えることができる。しかし、今のなたねは裸で応戦しているも同然であり、その分ダメージもより直接的なものとなっていた。

幸輔「やれやれ…。」

幸輔は余裕の表情で立ち去ろうとした。しかし、その余裕はすぐに驚きへと変わった。

なたね「えいっ!」

何と、先ほどの攻撃を気力で耐えたなたねが口を血でいっぱいにしながらも幸輔へ体当たりを仕掛けてきたのである!準備ができていなかった幸輔は吹き飛んだ。

幸輔「うわっ!」
なたね「負けるわけには…いかないんだ…。」
幸輔「どうやらお兄さんを本気で怒らせてしまったようだね!君には苦しみながら死んでもらうよ!」

幸輔は不気味な微笑を浮かべた。そして、再び突撃してきたなたねの両足の脛の部分にエネルギー波を打ち込んだ。

なたね「うわーっ!あーっ、あーっ!」

なたねはあまりの痛さにのたうち回った。どうやら先程の攻撃で両足の骨を折られてしまったようであった。

幸輔「どうだい、痛いかい?早く死にたいかい?でもまだ苦しみが…。」

とここで、幸輔の両足に変な感触が伝わってきた。見ると、両足を折られたなたねが幸輔にしがみついていた。両足を折られても、なたねは根性で幸輔に食い下がるのであった。

なたね「ボクは…ボクは負けない…。」
幸輔「しつこい子だね…。こうなったら…。」

幸輔はなたねを自分から引き剥がした。そして、なたねの首を本気で絞め始めた!

幸輔「これで君とも永遠にサヨナラだね!」
なたね「ううっ…。ボクは…ボクはっ…!」

なたねはまだあきらめていなかった。しかし、その意識は確実に薄れていく。
そしてなたねの意識が途切れかけたその時!

??「待ちなさい!」

静かな、しかし凛とした声が廃工場内に響き渡った。

幸輔「誰だ?」

幸輔がなたねから手を離し、声の主に視線を移すと、そこには長身で銀髪の美しい女性、そう、「白鷺のサキ」がいたのである!

サキ「あなたの悪行三昧…私は全て知っているわ…。さあ…覚悟なさい…。」
幸輔「お兄さんが簡単にやられるわけはないね。というわけでこれで抹殺だね!」

幸輔はサキに向かってエネルギー波を発射した。しかし…

サキ「ハッ!!」

サキはあっさりとそれをかわした。そして、戸惑う幸輔の隙をついてぐったりしているなたねを拾い上げ、自分の背後の幸輔から離れた位置に安置した。

幸輔「動きが…速すぎて見えない…!」

幸輔の余裕はもはや失われていた。
一方サキは、幸輔に止めを刺すべく、背中の大刀「バスタードソード」を抜いた。そして、幸輔と相対した。

サキ「もう…あなたの悪行は終わりよ…。」
幸輔「そんなことは知らないね!と言うわけで攻撃!」

幸輔はなおも抵抗を試みた。しかし、そのような攻撃はサキには通用しない。幸輔の発したエネルギー波はまたしてもあっさりかわされた。
そして、サキは一瞬のうちに間合いを詰め、バスタードソードで幸輔に止めを刺した。

幸輔「負けるのか…この僕が…。」

幸輔は光と化し、そして消滅した。

サキ「…迷える魂に…救いあらんことを…。」

戦いはサキの勝利に終わった。


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