オレが振り向いた先には全身をマントで包んだ1人の女性がいた。
真吾「あ・・・な・・・」
オレは声が出なかった。
怪しい、明らかに怪しい。
真吾「な、何か?」
やっとその一言だけ言えた。
女「あなたは今、悩みを抱えてますね・・・」
真吾「悩み?」
女「子供の頃に両思いの女の子がいたが、引越しで離れて以来なぜかあなたは消極的に育ち、高校では汗かきが災いして女子が隣に座っては煙たがられ・・・」
真吾「!!」
女「次第にオタクの道を走り、オタクは暗いなどのレッテルを貼られている現実にショックを受け、最近現実の恋愛を諦めかけている自分に疑問を持つ・・・・」
真吾「・・・・・・・」
女「生活も特に苦しい訳ではないのにどうして恋愛に自信が無いのか・・・」
確かに女性の言葉は真実や、でもここまでグサグサ言われるとさすがのオレも腹が立ってきた。
真吾「でっかいお世話や!ほっといてくれ!!」
女「待ちなさい」
ガシッ
真吾「なっ!?」
女性がいきなりオレのシャツをつかんだのだ。
真吾「何やねんな、一体!」
女「もしよろしければ・・・これを買っていただけませんか?」
そう言って女性がオレの前に差し出したのは1枚のゲームディスク。
そしてそのディスクにはこう書かれていた。
PSソフト「Otogi Story」
真吾「???」
はっきり言って聞いたことの無いゲームだ。
しかしまさか・・・これが胸騒ぎの原因なんか?
買う気は無いのに次第に興味が・・・・興味がぁー!
真吾「・・・・・これ、いくらっスか?」
女「100円です」
真吾「買った!!」
そして再び自転車に乗る真吾を見送りながら彼女は呟いた。
女「これであなたは・・・自信がツクこととなります・・・」