Legend of Quel

第二部(オリキャラ編) 夢魔の世界編

(回想)

巨大惑星の脅威が去った後、天界のとある一角にて。ここにはメガミ様とRynexの2人しかいなかった。

メガミ様「Rynex、突然呼び出したりしてすみませんね。」
Rynex「いえいえ、お気になさらずに。」
メガミ様「実は、もう察しはついているかと思いますが、あなたにはどうしても話して
      おかなければならない事があります。」
Rynex「G3様の事ですね...」

やや緊張気味のRynex。これから語られる内容についてはおおよそ感付いているようだ。

メガミ様「ええ。彼はいずれ、大きな壁に突き当たる事になるでしょう。
     仮面ライダーとしてではなく、クゥエルとして...『人』として...」

真剣な眼差しで聞き入るRynex。

メガミ様「その時が来たら、Rynex、あなたが彼を支えてあげて下さいね。」
Rynex「勿論そのつもりです。それは、私があの計画に携わった時から既に覚悟して
     います。」
メガミ様「だからこそ、G3‐XXやグランチェイサーなどの兵器を数多く作ってきたの
      ですね。」
Rynex「......本当なら、私自身が素体になるべきでした。私が素体になれれば
     G3様に重荷を背負わせずに済んだのに...でも、適性のない私にはどうす
    る事もできませんでした。だからこそ、せめてG3様の支えになれるよう、更なる
    兵器開発を進めたいと思います。エグザイズにならずに済むように...
    それが、G3様に過酷な宿命を背負わせてしまった私にできる、せめてもの償い
    ですから...」

(回想終了)

 

 

 

Rynexはワープゲートをくぐった。来たるべき時に備え、自分の気持ちを整理するために...

 

故郷である夢魔の世界へとやってきたRynex。だが、Rynexがそこで見た光景は、思い描いていたものとは大きくかけ離れていた。

Rynex「!!!!!」

夢魔の世界においてRynexが住んでいたのは、人間の世界で言う所の小さな村落のような場所であった。
人情溢れる下町のような雰囲気をかもし出し、いつも人々の笑顔が絶えない心休まる所であった...はずだった。
が、今目の前に広がる光景は、人っ子一人いない寂れたゴーストタウンのような有様である。

Rynex「......こ、これは一体......?何があったの?」

家々の方に駈け寄り、辺りを見回すRynex。

Rynex「父さーーーーーん!!!母さーーーーーん!!!ステュクスーーーーー!!
     リーザーーーーー!!!」

返事は全く無い。親しい者を呼ぶ声が空しくこだまするだけだった。

Rynex「みんな...どこに行っちゃったの...?」

仲間を心配するRynexの背後には、怪しい影が...

 

 

荒らしに飽きたG3は、Gストライカーの中でビデオを見ていた。
中身は、最近始まったばかりの新番組「仮面ライダー龍騎」。「仮面ライダーアギト」の後番組である。
毎週日曜朝8時からテレビ朝日で放送されており、G3はこれを楽しみにしているのだ。
特に、番組の中に登場する4人目の仮面ライダー、ゾルダが彼のお気に入りであり、グッズ購入を検討中であるとか。

G3‐XX「おお!これが重装型のゾルダか!!!銃を撃つ姿はまさにG3‐Xの生き
      写しだな、ヲイ。もう最高じゃ!!!!!ギャハハハハハハハハハハハハ
      ハハハハハハ!!!!!!!」

 

 

背後の怪しい気配に気づいたRynexが振り返ろうとした瞬間...
ドゴッ!!!

Rynex「あうっ......!」

腹部に強い衝撃を感じ、そのまま意識が薄れていくRynex。倒れる直前、何か異形の人影を見たような気がした。

 

 

Rynex「......う...う〜〜〜ん......」

意識を取り戻すRynex。

少年「あっ、気がついたぞ。」
少女「Rynex、大丈夫なの?」

聞き覚えのある声に促され、Rynexがゆっくりと起き上がって周りを見てみると、見覚えのある少年と少女がいた。

Rynex「あっ!あなた達は...!」
少年「久しぶりだね、Rynex。僕だよ、ステュクスだよ。覚えてるかい?」
少女「ほんとにRynexだあ。私のこと覚えてる?リーザよ。昔はよく3人で遊んでたよね」
Rynex「ステュクス!リーザ!勿論、覚えてるよ!へえ〜、そっか。ステュクスは男に、
     リーザは女になったんだ。」

Rynexたち夢魔の末裔は、生まれた時は性別を持たず、思春期になる頃にどちらかに決まるのだ。
Rynexとリーザは人間の年齢でいえばおおよそ14〜5歳、ステュクスは11〜2歳程度であると思われる。

ステュクス「Rynex、君はまだ性別が決まってないのかい?」
リーザ「人間の男女って、そんなに魅力ないのかしらね?」

夢魔の性別を決める鍵は、要するに「恋」である。胸をときめかすような男に出会えば女になるし、逆もまた然り。

Rynex「そうねえ...今の所、そういう相手には巡り会えないな。違う意味で素敵な方
     はいるけどね。」
ステュクス「違う意味って...そりゃどういう事だい?」
リーザ「素敵な方?ねえねえ、それって誰なの?ちょっと興味あるなあ。教えて!」

Rynexの言う相手に興味津津のリーザ。

Rynex「う〜ん、あんまり期待しない方がいいかも...(^^;)
    ところで、話に夢中になってて気が回らなかったけど、ここは一体どこなの?」

Rynexが辺りをよく見てみると、どうやらそこは牢屋の中のようだ。

ステュクス「うん。実は、君がいない間に怪しい化け物が現れて、僕たち夢魔を次々と
       さらっていったんだ。」
Rynex「怪しい化け物...?(まさか、さっき会ったあの人影?)」
リーザ「ええ。何でも、私達夢魔の持つ、人を魅了する力を自分達の戦いに利用しよう
     としているらしいの。私とステュクスがここへ連れてこられる前に捕らわれていた
     夢魔は実験室へ運ばれていったみたいよ。」

Rynex「じゃあ、父さんと母さんもそこに...実験って何をするつもりなの?」

不安そうに尋ねるRynex。

ステュクス「多分、夢魔の持つ魔力を吸い上げるつもりだ。」
リーザ「このままじゃ私達、みんな力を抜かれて全滅しちゃう...!どうすればいいの?」

べそをかいて泣きそうな声で嘆くリーザ。

Rynex「大丈夫だよ!実は私、今ある人の使い魔をやってるんだけど、
     その人は、とっっっっても強くて、優しくて、ちょっと性格が変だけどすっごく
     頼もしいんだ!」

子供のように目を輝かせ、オーバーアクションで『ある人』の事を嬉しそうに語るRynex。

ステュクス「そ、そんな人がいるのかい...?でも、そのRynexが仕えてる人って、
       きっと素晴らしい人なんだろうね。話してる時の目がすごく楽しそうだし。」
リーザ「じゃあ、さっき言ってた『違う意味で素敵な方』って...」
Rynex「うん!とても素晴らしい方だよ!ただ、パッと見にはとてもそうは見えないけど
     ね...(ボソッ)」
ステュクス・リーザ「ふうん......そ、そうなんだ......(汗)」

その頃、G3は...
G3‐XX「ぶえっくしょい!!!」
派手にくしゃみをするG3。
G3‐XX「おのれ、誰か俺の悪口を言ってやがるな。ケッ!どうせ『変態』とか『ロリコン』
      とか『腐れ厨房』とか抜かしてんだろ!悪かったな!!!どうせ俺は変態で
      ロリコンで腐れ厨房だよこのド畜生がッ!!!!ぶえっくしょい!!!!!」

実に騒がしい男である。

G3‐XX「それにしても、何か落ち着かねえな、をい。くそっ...一体何なんだよ、この
      胸騒ぎは...」

妙にそわそわするG3であった...


Otogi Story Index - シリーズ小説 - Legend of Quel