真純「いやぁ〜☆ いい汗かいたわぁ〜☆」
今、私たちは卓球場を後にして、旅館の通路を歩いていた。
さわやかな顔をして歩く先生の胸には、綺麗な金のメダルが光っている。
あの後、エイジさんは自分を負かしたお礼にと、その金色に輝くメダルを先生にプレゼントしてくれたのだ。卓球仲間のお年寄り達が彼を称えて作った、最強の強さの証なのだという。敗北を喫した今となってはもはや、自分が持つ意味は無いと……。自分に勝った真純先生へ、そのメダルは引き継がれる事になったのである。
かすみ「先生、とってもかっこ良かったです」
ロック「凄いっす!」
ティコ「感動しましたよ!」
どうやら、3人とも先生の恥ずべき反則技を見ていなかったようだ。まあ、あの位置からじゃ無理もないかな。知らないって……幸せだよね……。
真純「へっへへ〜☆ エイジさんのメルアド教えてもらっちゃったぁ〜☆
あとでメール送ってみ〜よおっと☆」
さっきからゴキゲンな先生である。初めて真の強さを発揮できる相手を見つける事ができて、嬉しがっていたのは二人とも同じだった。最強の二人だからこその、崇高でありながら、それでいて贅沢な悩みだ……。
私「良かったですね。友達になれて」
真純「ふっ……それは違うわ、美月……。友じゃなくて……強敵(とも)よっ!!」
はいはい……。