夕暮れ近づく大坂の郊外の住宅街。
今、そこは現実世界とは思えないほど殺伐とした空気が漂っている。
道路に立つ大男、金剛。
ボロボロに破れたズボンに汚れたタンクトップ。
片腕がアスファルトにめり込んだ状態で民家の屋根の上を凝視している。
その屋根の上に恵ときよを抱えてたつ謎の男。
黒いソフトパンツに肘まで袖をまくった白いカッターシャツ、
青いネクタイが風になびいている。
黒ぶちメガネの奥の瞳はとても温かい。
金剛「貴様・・・何者だ?」
金剛の声が閑散とした住宅地に響く。
\\\「この子達を守る者・・・といえばいいですかね。」
優しい笑みを浮かべ、金剛を見つめる男。
金剛「ふざけるな!!邪魔だてするなら貴様も消えてもらう!!!」
めり込んだ腕を引き抜く金剛。
恵ときよを屋根に寝かせ、地面に降り立つ男。
金剛「ヌオォォォォ!!!」
拳を振り上げ、襲い掛かる金剛。
マシンガンのようにパンチを連発するが、男は巧みに全てよけている。
金剛「おのれぇ〜〜〜!!」
渾身の力をこめて男の懐にパンチを繰り出す。
クリーンヒットするかと思ったが・・・
金剛「!!!」
金剛の顔が一変する。
男の懐と金剛の拳の間の空間がほのかに光を放ち
金剛の拳を受け止めている。
金剛「貴様、一体・・・・」
\\\「形勢逆転・・・・ですね。」
男が手を掲げ、一呼吸おいて金剛に向かって手を押し出した。
次の瞬間、その手から衝撃波が繰り出され
金剛を後退させる。
金剛「ヌヌゥッ!!!」
T字路になっているあたりまで吹き飛ばされた金剛。
突然の出来事に動揺し、肩で息をしている。
金剛「この野郎ぅっ!!!」
再び男に立ち向かっていこうとしたその時
元樹『金剛、退け・・・・』
金剛「あ・・・兄者・・」
金剛の脳に直接届いてくる声。
元樹『もう挨拶は済んだだろ、退け。』
金剛「し、しかし兄者・・・」
元樹『同じことを何度も言わせるな!!!』
金剛「ゥッ!!」
口ごもる金剛。
金剛「うおぉぉぉぉっっ!!!」
大きく叫び地面を殴る金剛。
その地点から男に向かい衝撃がアスファルトを砕きつつ襲い来る。
それを飛んでかわし、男が金剛のほうを見ると
そこにすでに金剛の姿は消えていた。
深く息を吐く男。その時・・・