彼らは神社に立つもっとも高い木のてっぺんに立っている。
いや、立っているというより浮かんでいるといったほうがよいだろう。
***「あれが守護天使か・・・・」
小柄な男の子がつぶやく。
###「兄者、今からでも襲いましょうぜ。俺、もうガマンできねえよ。」
山のように大きく禍々しい形相の男が
握り拳に力を入れながらきよの顔を凝視している。
***「まぁ待て。まだ早い。僕の計画は完璧だ。
僕のいう通りすればいいんだ。」
###「でも兄者・・・」
***「しつこいぞ!!待てといったら待つんだ!!!」
###「ウグッ・・・・へぇ・・・」
大男はうなだれた。
その姿を嘲笑する男の子。
二人の間に立っていた黒衣に身を包む妖艶な女性が口を開く。
???「焦らずとも、我らが負けるはずがない。
今のうちに楽しい夢をみせてやろうではないか。」
真っ赤な唇が冷ややかな笑みを浮かべた次の瞬間、
一陣の風が吹き、三人の姿が消えてしまった。
秋の訪れとともに自分達の元に近づく黒雲の存在を
千田は気づいていなかった。
つづく