恵「やっぱ、信じられないね。」
千田「え?」
恵「どう見たって人間だもの、きよちゃん。天使っぽくない。」
千田「そう・・・かな?」
恵「守護天使ってご主人様を守ったりするのが役目でしょ?
きよちゃんにそんな力があるなんて思えないなぁ・・・」
千田「・・・十分持ってるよ。」
恵「え?」
千田「さっきだって、僕らがケンカしそうになったのをとめたじゃないか。
それに彼女が僕のところに来てから
前ほど悲しい気分になることもなくなってきたし・・・」
恵「千田君・・・」
千田「僕ってさ、半ば勘当同然で家飛び出してきちゃったでしょ?
だから、すっごく孤独だったんだ。
でもきよちゃんが来てから毎日ドタバタばっかりでさ、
孤独な気分になる暇もないくらいなんだよね。
やっぱりきよちゃんは優秀な守護天使だよ。」
遠くではしゃぐきよを目を細めて見つめる千田。
恵が持っていたラムネのビンを千田のほほにつける。
千田「わっ!!な、何?!」
いたずらっ子のように可愛く笑っている恵。
恵「・・・親バカ。」
千田「え?」
恵「ま、そこが千田君のいいところなんだけどね。
わかった。あたしも信じるよ。彼女は優秀な守護天使だって。」
千田「恵ちゃん・・・」
きよが二人に向かって叫ぶ。
きよ「おにいちゃぁ〜ん、おねえちゃぁ〜ん。これメッチャおもろいよぉ☆」
千田「いこっか。」
恵「行きましょっか。」
立ち上がり、きよの元に向かう二人。
その後もたくさん遊んで家路につくことにした。
アスファルトの道に三人の影が長くのびる。
恵「今日は楽しかったね、きよちゃん。」
きよ「うん!うち秋祭りだぁ〜い好き♪」
千田「よかった。またみんなでどこか遊びにいこっか?」
恵「あ、それいいねぇ。」
きよ「お兄ちゃん、そのためにもうんと働かなあかんよ。」
千田「え・・・・・」
恵「そうだよ、千田お兄ちゃん☆」
千田「ハイ・・・頑張ります。」
きよ「よし・・・エヘへ」
恵「フフフフフフ・・・」
千田「アハ、ハハハハ・・・」
三人の笑い声が秋の空に吸い込まれていった。
そんな三人の姿を遠くから見つめる者達がいた。