大坂、冬、とある町の神社・・・・今そこは異世界と化している。
木刀をまっすぐ前にいる敵に向け、その先のものを凝視する千田。
その視線をものともせず、薄ら笑いを浮かべる呪詛悪魔、元樹。
その元樹の後ろにある邪気を放つ大きな玉の中で眠りつづける
守護天使、きよ。
そんな危機迫る状況を鳥居の外でなすすべなく立ち尽くし
見守っているよしきをはじめとする守護天使7人・・・・・
よしき「ご主人様・・・・」
固唾を飲み、目の前の光景を見守るよしき。
サファリ「なぁ・・・ホントに俺等には何も出来ねぇのかよ・・・・」
ユージ「・・・この結界がある限り・・・私たちには手も足もだせません・・」
まもり「歯痒い・・・・」
しあん「ケン・・・・エイジ・・・・・」
ケン「・・・・・」
エイジ「信じるのじゃ・・・・今ワシらにできるのは・・・信じることじゃ・・」
元樹「さぁ・・・・・死ね!!!!」
元樹の左手から出現した野球ボール大の火の玉が
千田めがけて飛んできた。
千田「はぁぁっ!!」
その火の玉をよけ、木刀を振り上げ元樹に突進する千田。
ガシィィッ!!
千田の振り下ろした木刀を右手の爪で受け止めた元樹。
元樹「甘いと言っているだろう!!」
再び左手の手の平を千田に向ける元樹。
ボウゥッ!!
さっき以上の大きな火の玉が千田めがけて噴出する。
千田「うぁっ!!」
体勢を崩しつつ、またも紙一重でよける千田。
元樹「まだまだぁ!!」
間髪いれず、元樹の手の平から連続で放たれる火の玉。
木刀で払ったり、動体視力を駆使してそれらをよける千田。
よけられた火の玉のほとんどは元樹の張った結界にあたり消滅する。
が、一つの火の玉が鳥居の回りに広がる芝生に引火した。
乾燥しているためみるみる燃え上がりあたりは火の海となる。
元樹「クックックッ・・・・動ける範囲が狭まっちゃったね。」
鳥居から社に向かって敷き詰められた石の道のみを残し
全てが火で包まれた。
千田の額に汗がにじむ。
暑さから出る汗と冷や汗の混じった、嫌な汗だ。
元樹「このまま日が昇るのを待って
新たなる呪詛悪魔の誕生をともに祝うか?」
千田「黙れ!!僕は必ず・・・必ずきよちゃんを助ける。
きよちゃんを・・・僕の妹を救ってみせる!!」
元樹「まだ言うか!!!!」
目にも止まらぬ速さで千田の目の前に移動し
千田の喉元めがけ爪を突き刺そうと腕を伸ばす。
木刀で寸前のところでふせぐ千田。
元樹「やつは人間ではない!畜生だ!!
血のつながりもないものを何故お前は妹と呼べる!!!」
千田ののどを狙う右腕にかかる力がどんどん増していく。
千田「確かに・・・・確かにきよちゃんは人間じゃないかもしれない・・・
血のつながりもない・・・だけどそんなの関係ないんだ!!!」
木刀で押し返す千田。
千田「ともに一つ屋根の下で生活する・・・・
それには血のつながりも人間であることも関係ない!!
動物だろうと鳥だろうと魚だろうと・・・家族なんだ・・・・
楽しいときにともに笑い、悲しいときにともに涙し、
辛いときにはともに辛さを分かち合う・・・・・
短い間だったけど、僕ときよちゃんはそうしてきた・・・
だからきよちゃんは・・・僕の大切な家族なんだぁ!!」
元樹の爪を払い、腹に一撃をくらわした。
元樹「グゥッ!!」
後ろに飛び、その場に膝をつく元樹。
元樹「何故・・・・この僕が・・・人間の攻撃で・・・・・」
かなりダメージをくらっているような元樹。
まもり「あたった・・・・」
しあん「でもなんで?なんであんなにダメージ受けてるの?
いっちゃ悪いけど・・・あのご主人様って人間でしょ?」
サファリ「俺達を寄せ付けないぐらいの強力な結界が作れる相手に・・・」
ユージ「!!見てください!!あの木刀を・・・」