きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十三話「哀しき堕天使・vs妃皇子」

闇に包まれた冬の大坂。
きよを助けに神社に向かう千田の前に立ちはだかる
第二の刺客、呪詛悪魔・妃皇子。
絶体絶命の千田を助けた一本の千枚通し。

妃皇子「誰だっ!!」

空を見上げる妃皇子と千田。そこには・・・

+++「そのケンカ、俺に買わせてもらおうか・・ってね。」

屋根の上に一人の男が立っていた。
その男に千田は以前、会った事があった。

千田「あ・・・あなたは・・・」
+++「よう旦那、奥さんやお嬢ちゃんは元気かい?」

雲間から差し込んだかすかな月明かりによって明らかになったその男は
かつて神社、公園であったテキ屋の兄ちゃん、その人であった。

テキ屋の兄ちゃん「ま、もっとも今はそのお嬢ちゃんを
           迎えに行ってんだろうけどな。」

ポケットに手を突っ込み、静かな笑みを浮かべつつ
千田を見つめる兄ちゃん。

妃皇子「貴様・・・何者だ?!」

瞬時に顔色を変え、妃皇子を見る兄ちゃん。

テキ屋の兄ちゃん「あんたの相手しに来たんだよ。呪詛悪魔妃皇子!」
妃皇子「何・・・・・?!」

と、次の瞬間、羽織っていたはっぴを脱ぎ捨てる兄ちゃん。
と、たすきがけしたベルトに数多くの千枚通しが装備された
異様な姿が現れた。
それはまるでマシンガンの弾を装備したゲリラ部隊のようにも見える。

テキ屋の兄ちゃん「守護天使隠密部隊!キジのケン、参上だぜ!!」
妃皇子「守護・・・天使?!」
千田「隠密・・・部隊?」

説明しよう。
守護天使達はご主人様の身の回りの守るために
「めいどの世界」で様々な訓練を受けている。
炊事洗濯といった家事から始まり、護身術や救急訓練まで・・・
そして、それぞれの訓練において一際目立った功績を残した者達が
集まり、呪詛悪魔をはじめとする抵抗勢力に立ち向かうため
組織されているものが「守護天使隠密部隊」である。
彼等は自分達のご主人様以外であっても
上層部から出動命令が出ればいかなる場所にも出動する。

閑話休題。

ケン「今回の一件は俺達とお前達のケンカだろ?
   こっちのマスター(ご主人様)は関係ねえはずだ。
   俺達が相手してやるよ。」

と、ケンが指を鳴らす。
するとケンの両サイドに2つの影が現れた。

千田「あ・・・・・・」

その二人にも見覚えがあった。

以前「Evil Cat」に来ていた女子校生二人組。彼女達である。

しあん「守護天使隠密部隊、猫のしあんちゃんでぇ〜〜っす♪」
まもり「同じく守護天使隠密部隊、ドーベルマンのまもり、推参。」

フリルのついた可愛いドレスを着たしあん。
それとは対照的に黒ずくめで右手に黒光りの木刀を持っているまもり。
あっけにとられている千田の前に降り立つ三人。

しあん「ご主人様、ここはしあんたちに任せて早く神社に行って。」
まもり「我等のことは心配は無用だ。日夜訓練は欠かしていない。」
ケン「お嬢ちゃん連れて帰って、奥さんほっとさしてやんなよ、旦那☆」

三人の背中を見る千田。

千田「みんな・・・ありがとう!!」

三人にお礼を行って神社に走る千田。

妃皇子「待てっ!!!」

走り去る千田に向かって結晶弾を連続して発射する妃皇子。
と、瞬時にまもりが割って入り、
目にもとまらぬ速さで手にもつ木刀で全てを打ち落とす。

妃皇子「!!」
まもり「・・・相手が違うぞ。」

妃皇子をにらみ返すまもり。

妃皇子「クッ!!」

一歩後ずさりする妃皇子。ケンが一歩前に出る。

ケン「俺達だって好きでケンカしようってわけじゃねえんだ。」
しあん「しあんだって、おんなじ猫さんと戦いたくないよ。」
妃皇子「貴様等なんかに・・・同情されたくないっ!!!」

妃皇子の放つ結晶弾乱れうち。

ケン「フンッ!!!」

すかさず肩にかけたベルトから数本の千枚通しを抜き投げるケン。
ケンの投げた千枚通しはすべて見事にうち砕いた。
と、一つの結晶が残りしあんに向かって飛んでいく。
パリンッ!!!
鼻先まできたところでまもりが打ち砕く。

しあん「ありがと♪まもり☆」
まもり「お前は救護の腕を買われて部隊に入ったのだ。
    その力が発揮できる場では力を借りるが
    それ以外はすべて我が守るよう言われている。」

無表情で答えるまもり。
しあんも、信頼しきっているといった顔でまもりに微笑む。

ケンはそんな二人の姿を背に妃皇子に語りかける。

ケン「な?信頼っていいもんだろ?」
妃皇子「うるさいっ!!そんな偽りの姿、見たくもないわ!!!」

顔をそむける妃皇子。
妃皇子に近づくケン。


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