きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十二話「狂気の王者・vs金剛」

木枯らし吹く夜の大坂。
その一角に凄まじい邪気に包まれた場所があった。
普段なら静かな住宅街なのだが、
今夜は緊張の糸が今にも切れそうなほど張り詰めている。

仁王立ちで立ちふさがる呪詛悪魔・金剛。
直立で静かににらむ守護天使・イノシシのよしき。
どちらも一向に動こうとしない。
・・・と、先に口を開いたのはよしきだった。

よしき「あなたのこと、いろいろ調べたんですね・・・ゴリラの金剛。」

金剛の眉がぴくりと動いた。

よしき「あなたの前世はマウンテンゴリラ。
    それも西アフリカの密林地帯でその名を馳せた王者・・・
    先住民はあなたを神とあがめ
    あなた達の群れは森の中で静かに暮らしていた。しかし・・・」

よしきの声が寂しそうになった。

よしき「あなたの噂を聞いた欧州の密猟グループが
    あなたの毛皮目当てに森にやってきた。
    あなたは一人勇ましく応戦したが多勢に無勢・・
    結局密猟者の銃弾に倒れ、群れは全滅した・・・・」

金剛は怒りをあらわにして叫んだ。

金剛「そうだ!!人間は俺達を、俺達の命を弄んだ。
   幼い俺の息子も、妻も、仲間たちも・・・・・
   みんな殺しやがったんだ!!!!
   俺は許さん・・・人間も・・そいつ等の肩を持つお前達も!!」

金剛が猛然と突進してきた。

金剛「はぁぁっ!!」

マシンガンのようにパンチを繰り出す金剛。
よしきはそれらを舞うようにかわす。

金剛「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

それでもなおパンチを打ち続ける金剛。
と、よしきは不意にその一発のパンチを受け止めた。
ドゴォッ!!!

よしき「ウッ!!」

腹にもろにくらったよしき。
よしきはその拳を抱え込む。

よしき「あなたのその気持ち・・・痛いほどわかります。
    僕だって・・・狩人の矢で命を落としたのですから・・・」
金剛「?!」

腕を抜こうとする金剛だが、よしきは離そうとしない。

よしき「でも・・怒りからは・・・・何も生まれないんです!!!」

よしきの手からまばゆい光が放たれた。

金剛「ぬおぉぉっ!!」

閃光に包まれ、金剛は吹き飛ばされた。

よしき「僕はそれを・・・・ある人から教わりました・・・
    だから・・守護天使になれたんです。」

金剛が立ち上がる。

金剛「許さん・・・許さん・・・俺は許さん!!!!!!」

金剛の目が真っ赤に光った。完全にキレている。
と次の瞬間、目を疑うような光景が目の前で起こった。


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