きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十一話「出陣!きよをとりもどせ!!」

千田「こいつは・・・・」

千田の前によしきが手を広げて立った。

よしき「呪詛悪魔・金剛ですね。」

灰色の死人のような体に汚れたタンクトップ。
禍々しい形相でこっちをにらんでいる金剛。
一瞬、千田の背中に冷たい汗が一筋流れた。
と、よしきが背を向けたまま言った。

よしき「ご主人様、ここは僕に任せて欲しいんですね。
    ご主人様は早くきよさんのところへ。」
千田「よしき!!」
よしき「僕は大丈夫なんですね。さぁ、急ぐんですね!!」
千田「あ、あぁ・・・・」

走り去ろうとして、千田は立ち止まり叫んだ。

千田「よしき!!これは主としての命令だ!!!絶対死ぬな!!!
   きよちゃんが僕の妹であるのと同じように・・・・
   お前は僕にとっては・・双子の弟だ!!!」

そういうと千田は全速力で走り出した。

その足音を聞きながら、よしきはつぶやいた。

よしき「・・最高の誉め言葉なんですね、ご主人様。」
金剛「貴様一人で俺の相手をするつもりか?」

どすの効いた低い声が闇の中にこだました。

よしき「こないだ逃げ出した男が、偉そうですね。」
金剛「この前は兄者に退くように言われ仕方なく退いたのだ!!
   しかし今宵の俺は一味も二味も違うぞ!!!」

大きな握りこぶしを振り上げ、金剛が叫んだ。
よしきは対照的にとても冷静な声で言った。

よしき「では僕も言わせてもらうんですね。
    僕たち守護天使にとってご主人様の命令は絶対なんですね。
    だから僕も・・・・」

徐にメガネをはずし、金剛を凝視した。

よしき「絶対・・・負けるわけにはいかないんですね。」

その顔からはいつもの優しい微笑みは消えていた。

木枯らしの吹く冬の大坂。
今、かつてない戦いの火蓋が切って落とされた。

 

つづく


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