きよただ!!ミステリー劇場

シャーロック・キヨムズの推理日誌 ~紅きドレス~ 第二章「犯人は・・・千田君?!」

30分後、別荘を多くのパトカーが囲んでいた。
弥生は死んではいなかったが、多量に出血しており
非常に危険な状況であったためすぐに救急車で運ばれた。
弥生の部屋は鑑識班が現場検証をしている。
千田・恵・きよ・葉月・文の5人が部屋のすみでじっとしている。
と、そこへ二人の刑事がやってきた。

宮入「どうも、捜査一課の警部の宮入(みやいり)といいます。」
蔵入「警部補の蔵入(くらいり)です。この度は本当に・・・・」
葉月「あの・・先生・・・布川の様態は・・・」
蔵入「病院には無事到着しましたが、まだ危険な状態なのには変わりありませんです。」
宮入「2、3質問をしたいんですが・・・って、お嬢ちゃん・・・」

きよに話しかける。

宮入「これは大人の話だから、ちょっと向こうに行ってくれるかな?」
きよ「うち、第一発見者やもん。」
宮入「あ・・・・そう・・・」

ちょっと戸惑う宮入警部。と、そこに警官が走ってくる。

警官「報告します!大坂府警から二階堂(にかいどう)警視がおみえになりました。」
宮入「な、なんと!」
蔵入「ニ、二階堂警視殿がいらっしゃったんですか?」
階段を上ってくる音がしてびしっとスーツを着た明らかなエリートが入ってきた。

二階堂「ご苦労様です。ここが現場ですな。」
宮入「は、はい!こちらに被害者が倒れておられたんであります。」

白い手袋をつけながら二階堂は部屋を行ったり来たりしている。
その後ろで宮入・蔵入両刑事が現状報告をしている。
ひととおり話が終わったところで千田たちの方に向き直る二階堂。

二階堂「え〜っと君らが第一発見者だね。」
きよ「うちと恵お姉ちゃんが入ってみたらお兄ちゃんが倒れてて・・」
恵「で、起こしたらその下に布川先生が倒れてたんです。」
二階堂「なるほどねぇ・・・で君がその・・・」

と、千田の顔を見て二階堂は眉を吊り上げた。

二階堂「!!君は・・・・善行君か!?」
千田「は・・・・はぁ・・・」

突然名前を呼ばれ驚く千田。

二階堂「そうか善行君か。立派になってたからわからなかったよ。」
千田「あのぉ・・・・・」
二階堂「覚えてないかな?君のお父さんに剣術を教えていただいた二階堂だよ。
     君とも何度か手合わせをしたはずだが・・・・」
千田「あぁ!!刑事のおじさん!!!」
二階堂「思い出してくれたか!!」

手を取り合って喜ぶ千田と二階堂。
どうやら二人は古くからの知り合いのようだ。

恵「ねぇ、あの人、千田君の知り合いなの?」
きよ「う〜ん・・確かうちが九官鳥やったとき・・・・つまりお兄ちゃんがちっちゃかったときあんなおじちゃんが道場によう来てたきがするわ・・・・」

コソコソと話す恵ときよ。

宮入「あの、警視殿のお知りあいですか?」
二階堂「あ、うん、少しな・・・・」
宮入「あの・・・まことに申し上げにくいんですが、我々は彼を一度署に連れて行こうと思っております、はい。」
二階堂「なにぃ?!」

二階堂だけでなく、これにはその場にいる一同全員が驚いた。

蔵入「一応彼の下にガイシャがいたわけで・・・その・・・彼が一番犯人っぽいかと・・・」
恵「な、何言ってんのよこの馬鹿け・・・」

怒鳴ろうとして文に口をふさがれる。

文「大丈夫よ、すぐ戻ってくるから、ね。」

恵みの耳元で文がささやく。

二階堂「・・・・仕方ない・・・か・・・悪いが善行君、一緒にきてもらえんかね。」
千田「え・・・・は、はぁ・・・・」

別荘を出てパトカーに乗せられる千田。
窓を開け、顔を出す千田。

千田「大丈夫だから、すぐ戻れると思うし・・・・」
きよ「おにいちゃぁ〜〜ん・・・」
恵「千田君・・・・」

不安そうな二人を残し、パトカーは千田を乗せ別荘を後にするのだった。


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