きよただ!!ミステリー劇場

シャーロック・キヨムズの推理日誌 ~紅きドレス~ 第一章「避暑地の別荘」

千田「ウ〜ン・・・」

千田が目を覚ますと、4人の子が覗き込んでいる。
恵にきよ、そしてさっき投げ飛ばした女の子としゃがみこんでいた女の子である。

恵「千田君、大丈夫?」
千田「あ・・・うん、何とか・・・・」
???「美奈ちゃん、謝ったほうがいいよ・・・・」
+++「・・・ごめんなさい・・・」
千田「あ、いや、僕らこそ勝手にドア開けちゃって・・ごめんなさい。えっと・・・」
恵「千田君が気絶してた間にいろいろ聞かせてもらったわよ。
  この二人は八木甘奈(やぎかんな)ちゃんと八木美奈(やぎみな)ちゃん。双子なんだって。」
甘奈「よろしくお願いします。」
美奈「よろしくね。」

頭をさすりながら起き上がる千田。

千田「あ、千田善行っていいます。」
きよ「二人ともあの布川のお姉ちゃんのモデルさんなんやて。」
千田「へぇ〜〜、双子でモデルなんてすごいですね。」
甘奈「わ、私はするつもりなかったんですけど・・・・
   美奈ちゃんがオーディションに行く時についていったらこうなっちゃって・・・」
美奈「甘奈はいつもあたしの後ろついて来てたのよね。」
甘奈「だって私、美奈ちゃんがいないと・・・・」
美奈「甘奈ももう18なんだから、自分の意志で決めるようにならないと・・・」
甘奈「でも・・・・・」

下を向いてもじもじしている甘奈。

きよ「コソコソ(甘奈お姉ちゃんてモデル向いてへんのちゃうかなぁ?)」
恵「コソコソ(美奈ちゃんもちょっとモデルっぽくないかも・・・・)」
千田「コソコソ(足して2で割ったらいいってこと・・・かな?)」

言い合いをしている美奈と甘奈の前でコソコソ話をする3人。
と、そこへ突然甲高い声が響いた。

$$$「何面白そうなことしてんのよぉ〜〜〜〜!!! アタシも混ぜさせちゃってよぉ〜〜〜!!」

みんなが向いた先には栗毛の美しいスタイル抜群の女の子が立っていた。

甘奈「メ、メイさん・・・」
メイ「ハァ〜〜イ、カンナ。そんでもってミナ。で、こいつら誰?」

甘奈が3人を紹介した。

メイ「ふぅん、そですか。アタシ右堂メイ(うどうめい)っていいます。
   おばあちゃんがイギリス人です。クォーターってやつです。」
甘奈「メイさんも私たちと同じオーディションで選ばれたモデルさんなんです。」
メイ「そゆことです。よろしくね、千ちゃん。チュッ☆」

おもむろに千田のほほにキスをするメイ。

千田「わっ!!」
恵「なっ!!!」
メイ「キスはアタシ流あいさつです。ところでカンナ、ミナ。今夜のパーティーで着る衣装ってどんなんですか?」
美奈「まだ先生から何も聞いてないけど・・・・」
メイ「アタシが聞いたところですが、今回のパーティーは海外進出祝いだけじゃなくて
   先生の新デザインの発表会でもあるんだそうです。」
美奈「それってもしかして・・・『FYレース』のこと。」
恵「『FYレース』?!」

さすがデザイナー志望の恵である。

甘奈「先生が在学中から考えていたデザインで今までにない斬新なものだって聞いてるんですけど・・・」
メイ「先生は世界進出のための武器としてそれ使うんです。
   でもってそれを着るモデルは先生同じく世界に羽ばたけるんです。」
美奈「なるほどねぇ・・・じゃ、あたしたちは今からライバルってことね。」
メイ「そゆことで〜す。『FYレース』のドレスめざしていっしょ懸命がんばりまショー!」
甘奈「そんな・・・ライバルって・・・いつもみたいに仲良くできないの?」
美奈「大丈夫よ。まさか殺人事件なんて起こんないからさ。」

なんてわきあいあいな話をしているモデル3人と千田、きよ、恵。
このとき美奈が何気なく言った一言が、まさか本当に起こるとは・・・・

 

(つづく・・・)


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