さて、それから数日が過ぎました。
ここは貧乏長屋の近くにあるとある神社。
今日は縁日でおおいに賑わっております。
よしき「・・結局、寿曽屋の主人と番頭は捕まりお白州へ。」
きよ「お妃皇とかっていう女の人は?」
よしき「噂では奉行所の役人が乗り込む前に逃げ出したらしいですよ。」
千兵衛「やっぱり女って怖いなぁ・・・」
きよ「お兄ちゃんそれってうちのこといってんの?それとも・・・」
恵「なぁんだ、こんなとこにいたの。」
縁日で賑わう参道を恵がこっちに向かって走ってきています。
きよ「噂をすれば・・・・やなぁ。」
恵「へ?噂がどうかしたの?」
千兵衛「いやいや、こっちの話。それじゃお参りしよっか?」
四人横一列に並び、賽銭を投げ・・・
パンッパンッ
・・・・・・・・・
きよ「よっしゃ、ほないこか?」
参道を歩く四人。
よしき「おきよさんは何をお願いしたんですか?」
きよ「もちろん、商売繁盛や!!よしきは?」
よしき「僕ですか?僕はまた新しい発明が・・・・」
千兵衛「わぁ〜っ!よしき、これでも食いな!!」
千兵衛はよしきの口におだんごを突っ込みました。
よしき「うぐぐぐぐっ!!」
きよ「のわぁ!よしき、だいじょぶかぁ?!」
必死によしきの背中をたたくきよ。
恵「どうしたの?慌ててあんなにおだんごほうばったりして。」
千兵衛「さ、さぁ・・アハハ。と、ところでおめぐちゃんは何をお願いしたの?」
恵「あたし?あたしはもちろん『闇夜の九官鳥』が捕まえられますようによ。
このあたしが捕まえて、きっとあの人たちを真人間にしてみせるわ!」
今にも目から炎が出てきそうな恵にたじろぐ千兵衛。
千兵衛「な、なんだかすごいね。」
恵「あたし決めたの。あいつを捕まえることが出来たら十手返そうって。」
千兵衛「へっ?!」
恵「そしたら・・・その・・・千兵衛・・・あたしのこと・・その・・・」
千兵衛「おめぐ・・・ちゃん・・・」
きよ「そんなこといったら、お姉ちゃんお婆ちゃんになってまうで。」
ガクッ
恵「お〜き〜よ〜ちゃ〜ん〜〜、そんなこというのは〜この口かぁ〜〜!!」
きよのほっぺを両方から引っ張る恵。
きよ「ふに〜〜!!」
よしきが千兵衛の耳元でささやきました。
よしき「どうすんですか?捕まんないと夫婦になれそうにないですね。」
千兵衛「は、ははは・・・どうしよう・・・」
乾いた笑いを浮かべる千兵衛。
恵「ふぅ、今日はこのくらいにしといたげるわ。
ところで、千兵衛はなんてお願いしたの?」
千兵衛「ヘッ?ぼ、僕?!」
たじろぐ千兵衛。
千兵衛(言えないよなぁ・・「恵ちゃんに捕まりませんように」だなんて)
恵「ねぇ、なんなのよぉ。教えなさいよぉ。」
千兵衛「それは・・・秘密だよ!!」
走り出す千兵衛。
恵「あ!ち、ちょっと待ちなさいよぉ!」
千兵衛「捕まえられたら教えてあげてもいいよ〜〜!!」
恵「言ったわねぇ〜〜!よ〜し・・」
十手を抜く恵。
恵「御用だ、千兵衛!神妙にしなさぁ〜い!!」
きよ「ありゃりゃ・・・こらあかんわ。」
よしき「僕たちも行きましょうか。」
天下泰平この上なし。
大坂の街は今日も日本晴れであります。
完