きよく!ただしく!!

元六・ヱ戸時代編 最終話「運命の先」

ロック「ワオォ〜〜〜〜ン・・・・
    って、確か前回もこんな始まり方だったろ?」

ま、いいじゃないですか・・・・・
さてさて、お話もとうとうクライマックスであります。
元吉の手におち絶体絶命と思われた恵を救った黒装束の男。
彼こそ日頃貧乏長屋で飾り職人をしている千兵衛、その人であります。

恵「闇夜の・・・九官鳥・・・・」

突然のことで気が動転している恵。
部屋が暗いことと、黒装束で目以外全て隠れていることが幸いし
どうやら彼女はこの男があの千兵衛だとは気がついてないようであります。

千兵衛「・・・・・」

何も言わずただ立ち尽くしている千兵衛。
何かしようと恵は立ち上がろうとしました。

千兵衛「動くな。」

悟られぬよう、なるべく低い声で話す千兵衛。

恵「え!?」
千兵衛「今立ち上がると・・・着物がはだけるぞ。」

千兵衛に言われ、現在の自分の格好に気がついた恵。
元吉に乱暴を受け、足は太ももがあらわとなり
襟元も乱れもう少しで胸元まで見えるかという状態であります。

恵「キャッ!!!」

その場に座り込み、即座に着物を着なおす恵。
これほどすばやく着衣の乱れが直せるとは
親のしつけがなっていたんでありましょうなぁ。

さて、着物もなおし終わったところで恵は落とした十手を拾って立ち上がり
その十手を千兵衛に向けた。

恵「あ、アンタが盗賊『闇夜の九官鳥』ね!!
  神妙にお縄をちょうだいしなさい!!!」

声が裏返りそうになりながらも恵は十手持ちとして立派でありました。

千兵衛「・・・・」

何も言わず、ただ恵と対峙している千兵衛。

恵「なんで・・・殺しちゃったのよ・・・・」

震えながら恵は言いました。

恵「アンタ・・・今までお金は盗んでも、
  人を殺めるようなことはしてなかったじゃない・・・
  そこんところは、あ、あたし、あんたのこと偉いって思ってたのに・・・
  こんな奴でも殺しちゃったら、あんた死罪になっちゃうんだからね!!!」
千兵衛「・・・・違う。」

静かに話す千兵衛。

千兵衛「おれは人殺しなんてしちゃいない。」
恵「だって現にこいつを!!!」
千兵衛「こいつはおれが急所をついたから眠っているだけだ。」
恵「へ・・・・・?」

呆然としていると、静寂の中にかすかに寝息が聞こえてきました。

元吉「・・・スースー・・・・」
千兵衛「こんな奴、おれが手をくださなくとも獄門台が待ってるんだ。
     今のうちにでも縄かけておいたほうがいいぞ。」
恵「あ・・そ、そうね。」

恵は懐から縄を取り出し、元吉をぐるぐる巻きにしました。

恵「これでよしっと・・・・ねぇ、あんたって本当は・・・・」

振り向いて恵は驚きました。
そこには今までいたはずの黒装束の男の姿がなかったのです。

恵「あいつ・・・・一体・・・
  そうだ!早くおみよちゃんたちを助けに行かないと!!」

鍵束を手に恵は牢に向かったのであります。


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