きよく!ただしく!!

元六・ヱ戸時代編 第弐話「使命と恋心の間」

そんな話が中でされてるとはつゆ知らず、
店の周りに張りついているおかっぴきは・・・・・

恵「ヘェ〜〜〜〜ックション!!やっぱ寒いなぁ・・・」

・・・あんたですかい・・・

恵「あんたにアンタ呼ばわりされる筋合いはないわよ!!
  ・・・ったく、何であたしがこんなとこに張り込んでないといけないのよ。」
千兵衛「お勤めご苦労様です。恵の親分さん。」
恵「へ?」

振り返ると千兵衛がニコニコしながら立っていた。

恵「千兵衛、何してんのあんた?」
千兵衛「ここの近所までお遣いにきたんだよ。
     そしたらおめぐちゃんがこんなとこにいたもんだから・・・」

と、店の中からアノ3人組が出てまいりました。

並森「オイッ、恵!!後はお前に任せたかんな!!」
大森「何だ?こいつはお前のコレか?」

大森はニヤニヤしながら親指を立てた。

恵「なっ?!ち、違いますよぉ!!まだ・・・・・」
大森「まだ?」

あたふたする恵。

千兵衛「僕は恵の親分と同じ長屋に住む飾り職人の千兵衛と申します。」
並森「ふぅ〜〜〜ん、ま、男にのぼせんのもいいが、
   お勤めはちゃんとするんだぞ!!ね、徳森さん。」
徳森「・・・・」
並森「あれ?」
大森「アホッ!!お前が徳森さんと話すなんて十年早いんだよ!!
   ですよね、徳森さん。」
徳森「・・・・まあな。」
大森「な?さぁ、次の店に行くぞ。」
並森「・・・・なんか納得できないなぁ・・・・・」

3人は大通りを風を切って歩いていきました。

恵「何なのよ・・ったく・・・」
千兵衛「大変だね、親分。」
恵「しょうがないわよ、自分で決めた道なんだもの。
  でも、これですごすご引き下がる恵親分じゃないわよ。
  あたしわかんのよね、今夜あたり『闇夜の九官鳥』が動き出すわ。
  この手でひっ捕まえて、あいつらに一泡吹かせてやるんだから。」

やる気マンマンな表情の恵。

千兵衛「頑張ってね。
     そんじゃきよちゃんが心配するからそろそろ帰るよ。
     あ、そうだ・・・・」

千兵衛は懐からホカホカの焼き芋を取り出し恵に渡した。

千兵衛「寒いでしょ。これでも食べて元気出してね。そんじゃね。」

向き直り、歩き出す千兵衛。

恵「千兵衛・・・・・あんがと。よっしゃ、がんばっぞぉ〜〜!!!」

闘志を燃やしながら、焼き芋にかじりつく恵。
角を曲がったところで千兵衛は立ち止まった。
そこで大きく息を吐き出した。

千兵衛「・・・・捕まんないよ、絶対に。」

千兵衛は小走りに長屋へと帰っていったのでした。

 

つづく


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