そんな話が中でされてるとはつゆ知らず、
店の周りに張りついているおかっぴきは・・・・・
恵「ヘェ〜〜〜〜ックション!!やっぱ寒いなぁ・・・」
・・・あんたですかい・・・
恵「あんたにアンタ呼ばわりされる筋合いはないわよ!!
・・・ったく、何であたしがこんなとこに張り込んでないといけないのよ。」
千兵衛「お勤めご苦労様です。恵の親分さん。」
恵「へ?」
振り返ると千兵衛がニコニコしながら立っていた。
恵「千兵衛、何してんのあんた?」
千兵衛「ここの近所までお遣いにきたんだよ。
そしたらおめぐちゃんがこんなとこにいたもんだから・・・」
と、店の中からアノ3人組が出てまいりました。
並森「オイッ、恵!!後はお前に任せたかんな!!」
大森「何だ?こいつはお前のコレか?」
大森はニヤニヤしながら親指を立てた。
恵「なっ?!ち、違いますよぉ!!まだ・・・・・」
大森「まだ?」
あたふたする恵。
千兵衛「僕は恵の親分と同じ長屋に住む飾り職人の千兵衛と申します。」
並森「ふぅ〜〜〜ん、ま、男にのぼせんのもいいが、
お勤めはちゃんとするんだぞ!!ね、徳森さん。」
徳森「・・・・」
並森「あれ?」
大森「アホッ!!お前が徳森さんと話すなんて十年早いんだよ!!
ですよね、徳森さん。」
徳森「・・・・まあな。」
大森「な?さぁ、次の店に行くぞ。」
並森「・・・・なんか納得できないなぁ・・・・・」
3人は大通りを風を切って歩いていきました。
恵「何なのよ・・ったく・・・」
千兵衛「大変だね、親分。」
恵「しょうがないわよ、自分で決めた道なんだもの。
でも、これですごすご引き下がる恵親分じゃないわよ。
あたしわかんのよね、今夜あたり『闇夜の九官鳥』が動き出すわ。
この手でひっ捕まえて、あいつらに一泡吹かせてやるんだから。」
やる気マンマンな表情の恵。
千兵衛「頑張ってね。
そんじゃきよちゃんが心配するからそろそろ帰るよ。
あ、そうだ・・・・」
千兵衛は懐からホカホカの焼き芋を取り出し恵に渡した。
千兵衛「寒いでしょ。これでも食べて元気出してね。そんじゃね。」
向き直り、歩き出す千兵衛。
恵「千兵衛・・・・・あんがと。よっしゃ、がんばっぞぉ〜〜!!!」
闘志を燃やしながら、焼き芋にかじりつく恵。
角を曲がったところで千兵衛は立ち止まった。
そこで大きく息を吐き出した。
千兵衛「・・・・捕まんないよ、絶対に。」
千兵衛は小走りに長屋へと帰っていったのでした。
つづく