あっ、そうだ。
そろそろ時間だから、チェックアウトの手続きをしないとね。
いつも持ち歩いているメモ帳に走り書きをして、破ったページをラナの側において、私は動物病院を出る。
ここからホテルまで時間がかからないから、すぐに取って来れるからね。
うん? あれは…。
目の前で、1匹の仔猫がわりと交通量の多い交差点を渡ろうとしている。
それが何を意味するのか、すぐに理解できた。
このままじゃ、あの子が…。
そう思っていたら、仔猫は車が行き交う道路へと今にも出ようとしていた。
その前を走っている、トラックの運転手はそれに気づいていないようだった。
いけない!
私は無意識に駆けていた。
1匹の命を助けるために。
そして、なんとか仔猫に手を伸ばして、自分の胸に引き寄せたとき、
どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
という音と共に、私は意識を失った。
<続>