2人のモモ

第7話「再会・お兄ちゃん 後編」

 あっ、そうだ。
 そろそろ時間だから、チェックアウトの手続きをしないとね。
 いつも持ち歩いているメモ帳に走り書きをして、破ったページをラナの側において、私は動物病院を出る。
 ここからホテルまで時間がかからないから、すぐに取って来れるからね。
 うん? あれは…。

 目の前で、1匹の仔猫がわりと交通量の多い交差点を渡ろうとしている。
 それが何を意味するのか、すぐに理解できた。
 このままじゃ、あの子が…。
 そう思っていたら、仔猫は車が行き交う道路へと今にも出ようとしていた。
 その前を走っている、トラックの運転手はそれに気づいていないようだった。
 いけない!

 私は無意識に駆けていた。
 1匹の命を助けるために。
 そして、なんとか仔猫に手を伸ばして、自分の胸に引き寄せたとき、
 どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
 という音と共に、私は意識を失った。

<続>


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