ききが来た道をたどって走り出すまもり。
持ち前の駿足で一気に駆け抜けながら、耳をそばだてる。
まもりの犬並に優れた耳がきよの立てる波の音をとらえた!!
現場にいくとそこは人通りの少ない湖沿いの小道。
きよは湖の真ん中あたりでバタバタしている。
その腕にはしっかりと子犬がしがみついている。
湖岸にはどうしていいかわからずオロオロしているリンがいた。
リンに駆け寄るまもり。
リン「あ・・まもりちゃん・・・・」
今にも泣きそうなリン。
まもり「何故助けに行こうとしない!!!」
リン「だ、だって・・今の時期水冷たいし・・・私寒いのだめで・・」
助けたくてもトラウマのせいで何も出来ない。
自分の無力さにリンの目から涙が流れ出す。
まもり「くっ!・・きよ殿、すぐ行く!!もう少し頑張るんだ!!!」
まもりはさっそうと湖に向かい、躊躇なく飛び込み
きよに向かって一直線に泳いでいく。
もう少しできよに近づくといったところでまもりは旋回しはじめた。
リンが叫ぶ。
リン「ちょっとまもりちゃん!!それてるわよ!!!!」
ムサ婆「あれでいいんじゃよ。」
リンが振り向くとききが呼びにいったようでムサ婆が立っていた。
リン「ムサ婆様・・・」
ムサ婆「溺れているものを救出するとき真正面から行っては自分も溺れてしまいかえって二次災害の元じゃ。
溺れているものの後ろに回りこみ抱きかかえるように救出する。それがセオリーじゃ。」
リン「そ、そうなんですか・・・・」
ムサ婆「まもりは前世からそういった訓練を受けてきておる。
こういう緊急時の事故でも冷静に対応できる、流石じゃの・・・」
そういっている間にまもりはきよと子犬を抱きかかえ、岸にたどり着いた。