「はぁ〜………ご主人様、もうすぐです」
せかいは一人、想い焦がれていた。もちろん自らの主にである。
すぐに寮に向うのも勿体無いと思い、小さな丘群を散歩していた。
「私をとても可愛がってくれて、命懸けで守ってくれた…。ご主人様に会えたら、最初に何を言えばいいのかな…私の事、ちゃんと覚えてくれているのかな…」
様々な期待と不安が渦巻いてくる、筈なのだが…
「ご主人様とまた一緒に暮らせるなんて………夢のよう………」
今の彼女には期待しかない。
彼女の石柱がそびえ立つ丘から、風がそよそよと流れる
「うーん、いい風…」
せかいが風を浴びていると、木陰に人影が見える…
「?」
せかいはおそるおそる近づいていく…
「!?」
そこにあったのは血まみれの少女だった。服が真っ赤に染まっている…
「だ、大丈夫ですか!?」
「くぅ…」
様子を見た所、出血は多いものの幸いに致命傷はないようだ。
せかいはパニックになりそうな自分をを必死に抑え、冷静に対処する。
「な、何があったんですか!?意識はありますか!?」
必死に呼びかけるせかい。少女はそれに反応し
「は、早く逃げて…」
「えっ?」
「早く………メガミか……ゴッドバトラーを……ううっ!」
傷が痛むのだろう。顔が苦痛にゆがむ。
「わ、分かりましたからもう喋らないで下さい!これ以上喋ると傷が深くなります!」
とにかく大変な事態が起こっている事は確かだ。せかいはそう確信した。
「今、応急手当をしますから…」
「そ、それよりも………早く………奴が……来るっ!」
血まみれの少女がそう言い放つと同時に、空の空間が歪み、妙な渦が巻く…
「ま、間に合わなかった………あなただけでも……逃げて」
「に、逃げてって…何が来るんですか!?」
「ゴ、ゴーストが………異様な強さの…ゴーストが………」
「…!?」
瞬間、物体が姿を現した。
「これ……が?」
それは、白骨の様な鎧を身に纏った「人型のような物体」であった…。