まあ、じいさんは優しかった。旅館の一番いい場所にわしを置き、特別に磨いたケースに入れ、大切に大切に扱ってくれた。
それを見ておったチビもわしに興味を示してのぉ・・・必死に話し掛けてきおった・・・
「エイジおぢたん☆今日はかけっこ一等賞だったよ!」
「うえ〜ん!お母さんに怒られたぁ〜!」
「これ☆僕の宝物☆エイジおぢたんだけに見せてあげる☆」
・・・かわいいやつじゃった。しかし、チビはわしをぬいぐるみと思っておったようじゃな。・・・ああ、チビが剥製という意味に気付いたのはいつだったろうか・・・チビは目に涙をいっぱい溜めて言いおった。
「エイジおぢたん!僕が土に返してあげる!絶対だよ!」
・・・チビは一生懸命じいさんに言いすがっておった。エイジおぢたんを天国に行かせて!っとな・・・チビには、わしの心が成仏しきれていないのが分かったのじゃろうか・・・とにかく、心の優しいかわいいわしのチビじゃよ・・・。
じいさんはチビに根負けして、わしは埋葬されることになった。業者の人が取りに来たな、その時、初めてケースから出してもらったわしを、チビは抱いたんじゃ。冷たいわしの体じゃが、チビの体温が伝わってきてな・・・チビの涙が、わしの乾いた心を潤していく・・・そうじゃ、わしはこのチビに救われたのじゃ。
もうわしの心に憎悪なんてなかったよ・・・チビとの思い出を胸に、天に召されたのじゃ。・・・ただ、チビと別れるのは、ちょっぴり寂しかったがな・・・
みか 「ふえ〜ん!ひっくひっく!あんたみたいなハゲでチビでオヤジなのにも、こんなに悲しい別れがあったのね!え〜ん!」
つばさ「やっぱり、君はボクたちと同じ守護天使なんだ!」
みどり「そうれす〜☆やっぱり悪い人じゃなかったれす〜☆」
あかね「ところで、どうやって思い出してもらったの?」
なな 「ああっ!そうだよ〜!」
もも 「・・・ももたちも・・・やっとだったのに・・・」
エイジ「おぬしらのおかげじゃよ☆」
くるみ「くるみたちのおかげ〜?」
ゆき 「それは、どういうことでございましょう?」
エイジ「おぬしら、じいさんの旅館に行ったじゃろ?」
たまみ「行ったよ!お客さんいっぱいにして喜んでもらったよ!」
エイジ「それじゃ!お客がいっぱいになって、長く使っていなかった大広間も使われてな、そこに、昔わしが入っていたケースが飾ってあったんじゃよ」
るる 「そうだぉ!それでご主人様に思い出してもらったんだぉ!」
エイジ「そうじゃ☆おかげさまで、わしはここにおる☆ありがとう☆」
あゆみ「まあ☆ありがとうなんて、みずくさいですわ☆」
エイジ「っということで☆これからよろしくじゃ☆」
らん 「はい☆」
・・・・・・がちゃっ!(ドアの開く音)
ただいま〜
守護天使13人「おかえりなさい!ご主人様☆」
エイジさんは「しつじの世界」の住人です。詳しくはエマステコンテンツのしつじの世界で!