しかし、エレナがだいぶ大きくなってきたある日、悲劇が訪れました。その年は史上まれに見る冷夏だったのです。
エレナは成長の際に頻繁に脱皮を繰り返すので、ご主人様は庭にある水道で水槽の水を入れ替えるのが日課となっていました。
その日も水槽の水を入れ替えていたご主人様。作業が一段落ついたところで、彼のお母さんからお遣いを頼まれました。そのお店へは片道5分もかかりません。少しの間ならとご主人様は水槽をそのままにし、商店街へ走っていきました。
しかし、それまで晴れていた天気は一変しました。突然冷たい雨が降り出し、すっかり気温が下がってしまったです。
大慌てで家へ急ぐご主人様。ようやく庭へもどると、入れ違いで様子を見に来ていたお姉さんが水槽を悲しそうに見つめていました。
エレナが、冷たくなった水槽の水の中で、仰向けになって息絶えていました。
エレナの名を何度も叫んで泣きじゃくるご主人様。お姉さんは後ろから彼を抱きしめ、その悲しみを分かち合うのでした。