夢追い虫カルテットシリーズ

特別編「第一回ファン招待」

ある日、HNライオンのみさき(女子。以下みさき)が自宅にて一人で過ごしていると、不意にチャイムが鳴った。

(誰?)

出てみると、そこには意外な人物がいた。

まゆり「こんにちは。」

何と、なぜかSS「夢追い虫カルテットシリーズ」の登場人物である「カイコのまゆり」がいたのである。そしてまゆりは風呂敷包みを抱えていた。

みさき「ま、まゆりさん…?」
まゆり「はじめまして。」
みさき「な、なぜ…?」
まゆり「ファン感謝の一環ですわ。というわけで上がらせていただきたいのですが、よろしいですか?」
みさき「あ、ど、どうぞ!」

まゆりは家へとあがっていった。

まゆり「さて、せっかく来たのですから、何かしましょうか。あ、もちろんその用意はしてありますわ。」
みさき「?」
まゆり「それでは早速…。」

そういうと、まゆりは部屋のカーテンを閉め始めた。
そして、閉め終わると、おもむろに着物を脱ぎ始めたのである!当然みさきは驚いた。

みさき「まゆりさん、な、何を…?」
まゆり「一緒に着物を着ようと思いまして。実演して見せたほうが分かりやすいでしょう?」
みさき「え、ええ…。」
まゆり「というわけでみさきさんも服を脱いでください。」
みさき「はい…。」

というわけで、2人はそろって下着姿になった(女2人なので恥ずかしいこともあるまい)。

まゆり「それでは、まずは長じゅばんを着てください。」
みさき「はい。」
まゆり「そして、胸の下に帯び下締めを当てて締めます。」
みさき「ふんふん。」
まゆり「では、着物を羽織って…。」
みさき「なるほど。」
まゆり「すそを前に持ち上げたら、10センチ程上げてください。」
みさき「10センチ…。」
まゆり「そのまま上前を重ねて、5センチほど上げます。」
みさき「5センチ…。」
まゆり「しわを伸ばして第一腰ひもを閉めます。そして上半身を整えて…。そうしたら両そでを持って
     トントンと引っ張ってください。」
みさき「トントン…。」
まゆり「続いて第二腰ひも、さらにはだて締めを…。」
みさき「ひも、多いですね。」

そんなこんなで…。

まゆり「はい、できましたわ。」
みさき「どんな感じになっていますか?」
まゆり「そうですね…では鏡を見に行きましょう。」

2人並んで鏡の前に立つと、おそろいの着物を着た2人の少女の姿が映し出された。

まゆり「なかなか可愛いですわね。」
みさき「そうですか…。何か…照れます…。」

みさきの顔がほのかに赤くなった。

まゆり「さて、次ですが…台所はどこですか?」
みさき「あ、こちらです。」

台所に案内されたまゆりは、まず冷蔵庫を覗いた。

まゆり「ここの食材、使ってもかまいませんか?」
みさき「はい。多分大丈夫だと思います。」
まゆり「では、そうですね…ブリ大根にしましょう。調理、手伝っていただけませんか?」
みさき「もちろん。」
まゆり「ではまず大根を…。」

こうして、料理教室が始まった。

完成し、料理を味わった後も、2人の楽しい時間は続いた。
お茶やお花といったおしとやかな物から、ボーイハントの秘訣(笑)のような裏技めいた物まで、まゆりのレパートリーは広かった。
そして、最後になって、ついにまゆり最大の特技を見せる時が訪れた。

まゆり「それでは、編み物をお教えしましょう。準備はいいですか?」
みさき「はい、いいですよ。」
まゆり「それでは、まず、2本の棒を両手に持ちます。」
みさき「はい。」
まゆり「そして、その棒に一気に糸を巻き付けていきます!」

そう言うと、まゆりは口から糸を吐き、それを棒に巻き付け始めた!みさきの目が点になった。

まゆり「こうして糸ができたら、それを使って一気に編んでいきます!」

あまりの速さにまゆりの手が見えなくなった。

まゆり「はいできました。それでは今やったことをまねして下さい。」
みさき「…できません。」

みさきは真っ白になっていた。

まゆり「そうですか…。では普通にやりましょう。」

そう言うと、まゆりは普通の毛糸を風呂敷から取り出した。

みさき「でしたら初めからそうして下さい!」

最後の最後で強烈なインパクトをプレゼントしたまゆりであった。

おわり


Otogi Story Index - シリーズ小説 - 夢追い虫カルテットシリーズ