Legend of Quel

第三部(完結編) 第32話

突如現れた妙な奴を前に大邪神が唸りをあげ、無数の触手を伸ばしてくる。
もちろん他の生き物には見えないスピードで。しかし...

バシュウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!!!!

触手がクゥエルに触れた瞬間、触手があっという間に蒸発してしまった。
天界の一同には、両者が全く動かず、ただ大邪神の触手が突然消えたようにしか見えなかっただろう。
触手の次は、先ほど『G3』を葬ったビームを撃つべく光を収束し始めた。

キュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ.........

ドグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ オッ!!!!!!!!!!!!!!!!

恐ろしい閃光がクゥエルを包み込む。

が、次の瞬間、クゥエルの背中にある無数の触手が槍のように大邪神を突き刺していた!
しかも、大邪神の体はサイコロステーキのようにバラバラになり、
その肉片の1つ1つがバーベキューのように串刺しにされていた。


メガミ様「そ、そんな...いつの間に......」
神様1「誰か、あの触手が伸びて大邪神を刺した瞬間を見た者はいるか!?」
神様2「いや、その前に大邪神を切り刻んだところは見えたか!?」
神様3「大邪神のビームはどうなったんだ!?」

クゥエル「グルルルルルルルルルルルルルルルル.........」

悪魔と化したクゥエルは、飢えた獣のように目の前の『餌』を見据えると、
触手で捕らえた肉片を一瞬で自分の目の前に持ってきた。

ベキベキベキベキベキベキベキベキ!!!!!!!

クゥエルの胸が左右にパックリと裂け、第2の口が開く。
どす黒い瘴気を消化液のように噴き出すその口には無数の鋭い牙を持ち、
中には無限の闇が広がっていた。G6と同じ緑色の血に染まった大邪神の肉片をその闇の中へと押し込んでいく。

バキバキバキバキバキバキ!!!!!!!
ベキベキベキベキベキベキ!!!!!!!
グシャッ......ベキベキベキベキ......グシャアアアッ!!!!!

『肉』が裂け、『骨』が砕け、『血』が滴る。悪魔の口が肉片を次々と喰らっていった。
大邪神の巨体が、クゥエルの小さな体にあっという間に吸い込まれていく......

クゥエル「グエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

レオン「うげっ...勘弁してくれよ!!!」

思わず顔をしかめるレオン。
レオンは、転生後のとある出来事により飛び散る血や生肉が苦手なのだ。
血の色の違いを差し引いても、レオンにとってこれは目を背けたくなる光景であろう。

らん「ううっ......!!!」

突然口を押さえてうずくまるらん。

つばさ「らん!しっかりして!」
つばさがらんの背中をさすってやる。
くるみ「い、いくらくるみでも、あんなのは食べられないの......」

なの「な、何なの......あんたが好きなのは、牛肉とトンカツじゃなかったの......」

全身を震わせて腰を抜かすなの。

もも「あ...あ...あ...ああ.........」

あまりにも凄惨な光景に、ももは涙ぐんだ目を見開いたままへなへなと膝をついた。
その後、シャーという音とともに湯気が立ち込め、膝元に生温かい水たまりが広がっていく。

ロック「あっ!」

美月が眩暈を起こし、ふらっと倒れそうになるのをロックが支えた。

ロック「大丈夫っすか?」
ティコ「大丈夫ですか、ご主人様?」
美月「......え、ええ...大丈夫よ......」

恵は映像から目を背け、千田さんにすがりつく。

恵「千田君...もしかして私達、無責任な事を言っちゃったのかな......」
千田さん「恵ちゃん......」

みどり「あ、あれ...本当にG3さんなんれすか!?」
あかね「守護天使があんな風になっちゃうなんて...」
ゆき「メガミ様が反対なさったわけですね...」
Rynex「G3様......」


クゥエルが大邪神の体を喰っている間、大邪神の存在をつかさどる『核』はかろうじて脱出していた。
肉片が全て食い尽くされて跡形もなくなった頃、核はウネウネと形を変えていった。クゥエルよりも一回り大きな人型の生物へと...

クゥエル「ウウウウウウウ......」

クゥエルが認識した新たな獲物は、有翼の悪魔を連想させるシルエットをかもし出し、翼のような巨大な腕には刃物のような爪を生やしてい た。
本来の腕や足にも同様に爪を持ち、右肩と左大腿部に不気味な目が光る。
胸には心臓部を思わせるような隆起物を乗せ、顔は骸骨のようであり、サメのような大きな口には気持ち悪い牙を無数に生やす。

クゥエル「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大邪神「ギエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
2体の悪魔は、互いを敵として認識したようだ。


サキ「どうやら向こうも本気を出してくるみたいね。」
ロック「もう、わけわかんねえよ!」
エレナ主「また規模が大きくなっていくのか...」


戦闘生物クゥエルと大邪神ガイナギロス...
史上最悪のカードが遂に実現してしまった。

行き着く先に何が待つのか、もはや誰にもわからない......


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