クゥエル「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
叫びながらガバッと起き出したクゥエルが辺りを見渡すと、Rynexや守護天使、ご主人様、それにメガミ様の姿があった。
『用事』を終えたRynexは家に戻ってきていたのだ。
Rynex「気が付いたのですね。」
クゥエル「Rynex......そうか、俺はオメガと戦って...そうだ!!!るるはどうした!?るるは!!!!!」
一同「.........」
守護天使達の表情から、クゥエルは瞬時に状況を察した。
クゥエル「.........すまない......」
そう言って、自分の体が妙に軽いと感じたクゥエルは、ここで自分がアーマーをつけていないことに気づく。
クゥエル「!!!!!」
慌てた様子で周りをキョロキョロと見渡し、アーマーを探すクゥエル。
クゥエル「お、お、おい、アーマーはどうしたんだ!?どこへやった!!!!!」
Rynex「落ち着いてください!!!今はその特殊包帯が代わりを果たしてくれます。G3‐XXは今修理中です。」
クゥエルに肩を貸すようにしてRynexがなだめる。ぜぇぜぇと息を荒げるクゥエル。
そこへももが前に出てきて、
もも「G3さん、お願いです。るるちゃんを助けて下さい!」
ご主人様「僕からもお願いします!!!」
みどり「みどりも、いいえ、みんなにとってるるちゃんはとっても大切なんれす!!!
G3さんも、るるちゃんの事......」
一同の必死の願いにもかかわらずクゥエルは、ますます表情を曇らせる。
クゥエル「......すまん...俺ではきっとるるを助けられない...
いや、るるだけじゃなく、もうこの世の誰も...俺の手で救う事はできない......」
らん「えっ......?」
つばさ「そ、そんな...」
みか「ちょっと、何言ってるのよ!あのG何とかに負けた事なんて気にする事ないわ!!! 超変身すれば勝てるんでしょ!」
クゥエル「俺は、勝っちゃいけないんだ......」
あゆみ「ど、どういう事ですの?」
クゥエル「夢を見たんだ。」
たまみ「夢...?」
クゥエル「俺は以前、Rynexの故郷である夢魔の世界で復讐鬼と戦った。その時に怒りのあまり暴走して、それ以来毎晩のように悪夢にうなされるようになった。俺自身の手で全てが崩壊する夢だ。本来睡眠など必要ないはずの俺がここ最近眠っちまうようになったのもきっと、俺自身の人格が引っ込み戦闘生物として覚醒しつつある兆候なんだろう。」
Rynex「やはり気づいていましたか...」
クゥエル「あの日の暴走以来、悪夢はひどくなっていった。オメガとの戦闘中にもビジョンが見えたし、ついさっきも見た。俺が...俺がるるを、この手で......」
悪夢を思い出して震え出すクゥエル。
ゆき「G3さん......」
クゥエル「でもこれはきっと夢じゃない...このまま行けば俺は俺でなくなる。全てを滅ぼし、絶対の無をもたらす悪魔になっちまう......もし俺が行ってオメガを倒したとしても、その勢いでるるを......」
クゥエルは頭を抱えてうつむく。
クゥエル「ダメだ......!!!それだけは、絶対に.........!!!!!」
激しく苦悩するクゥエルを前に、一同は言葉もかけられなかった。
クゥエル「Rynexと出会ってG3‐XXになった時、俺はこの力を完全に自分の物にしたと思ってた。仮面ライダーになってみんなの明日を守れる、そう思ってた......
でも、結局俺は、この力に振り回されていただけだったんだ!」
なな「それじゃあ、るるちゃんはどうなるの!?るるちゃん、きっとG3の事待ってるよ!!!」
クゥエル「なな......」
なな「お願い、G3!もう一度...もう一度仮面ライダーになって!!!
るるちゃんを助けて!!!この世界のみんなを助けて!!!!!」
立ち上がって涙目で訴えるなな。だが、依然としてクゥエルには覇気が戻らなかった。
クゥエル「俺が戦ったら、この世の全てが犠牲になる...るるも含めて...俺はもう、誰も助けられない...命を捨ててでも誰かを救う事すらできない......俺は...俺は......」
なな「G3...さん...?」
クゥエルの両目に、ブワッと涙が溢れ出す。
クゥエル「人殺しの化け物なんだよおおおおおおおお.........」
近くにいたらんの膝に泣きつくクゥエル。
らん「G3さん.........」
泣き出すクゥエルの姿に心を痛める一同。Rynexは、特にそれがひどかった。
Rynex「クゥエル様......全ては私の責任です...!私がクゥエル様をこんな目に...ううっ...あああああああああああああっ!!!!!!!」
Rynexもまた、手で顔を覆いながら激しく号泣する。
ここでメガミ様がようやく口を開いた。
メガミ様「いいえ、あなた方の罪ではありません。あの時、私がもっとしっかり止めていれば......クゥエル、あなたはいつもそうやって何でも1人でしょいこもうとする...昔からずっとそうでした......」
と、その時、玄関から誰かが入ってくる音がした。