P.E.T.S[AS]

第3話「麗しの巨匠」

煌々と輝く光の中に、再び私はいる。

数万……いや、数百万かもしれない。無数の光が私が今存在する空間を照らし、それぞれがあたかも意志を持っているかのように動き回っている。

よく観察すれば、これらの光は私を中心に回転運動していた。私が光達の中心なのだ。まるで惑星が太陽を中心に軌道を描いているかのように。
彼等は私を護衛しているか、それとも様子をうかがっているのか。もしかしたら私には何の興味も示していないのかもしれない。
どんなに時間が経過しても、眩い光達は自分たちの運動に集中し、私になにかするということはなかった。

決めた。
彼等には意志はない。意志があるのだとしたら、私は何万何億もの存在に見られていることになる。そんなことは考えたくない。相手がたとえどんなに紳士的であったとしても、そんなに見ないで欲しい。
見られたくない部分まで見られてしまう。そんな気がする。

見ないで欲しい。

お願いだから。

……

でも、例外もある。私が本当に心を許せる人ならば。見せてもいいかもしれない。全てを。

つまり……。

私の運命の人。王子様なら……。

1つの光が無数の仲間たちから離れ、こちらに近付いてきた。
私をどうしようというのだろう。どのみち私が逃げようとしても、光達はついてくるに決まっている。私が彼等の中心だから。

まるで生き物のようなその光球は私の目の前で動きを止め、そのままになった。
それまで全く私に関心がなかったようなそぶりをしていたのに、今度は私の動きを注意深く観察しているように見える。
この光は待っているのだろうか。私を……。

……
私はこの光に手を伸ばして触れた。


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