……
…………
静かだ……
そしてとても暖かい、何かに包まれている。
……
これは夢の中だろうか……?
なんだろ……とても安心する。
体がとても軽い。それどころかあまりに身軽で体なんてないような気さえする。
そもそも重力というものが、ここには存在しないようだった。
周りを見渡してみる。あたり一面が光に包まれていた。
私はどうしてしまったのだろうか……。
夢にしては、意識がはっきりしすぎている。
自分の視界全体が、こうこうと輝く白い光で埋め尽くされている。光以外には何もなかった。
でも、全てが光なら……それは無と同じ……。
私は方角さえ掴めなかった。
……
ポッ、と空間に一つの黒インクが落ちた。光の世界に・・・無の世界に、ひとつの有が生まれる。
周りと違う、その唯一の小さな暗黒のおかげで、私は自分の位置を知る。
黒いしみはどんどんあたりに広がり、それは私の思い出を映し出した。
世界が構築される。
それは私の思い出の世界……。
その中に、私は招かれた。