夕暮れの中、小川に沿った小道を歩いてゆく。
側の小川の清いせせらぎは、私の心のもやもやを全て洗い流してくれるようで、私はここを歩くのが好きだった。
背中まで長く伸びた髪が、湿った風を受け止め、また私の肌が、その風を感じる・・・
あまりの心地よさに、このまま、このゆるい風にまかせてどこかに運ばれたいと思ったが、私には帰るべき場所がある。
嬉しかった……。
ある日突然、あの二人が現れ、それまでちっとも楽しくなかった私のお城が、幸せに包まれたからだ。
「早く帰らないと、きっと二人とも心配して待ってるよね。」
アパートへ向けて駆け足になった。
私の帰りを待っていてくれる人がいる。これ以上の喜びはなかった。
私の名は朝村美月。
とある作家のアシスタントをして生計を立てている。報酬は多くないが、一人で暮らす分には十分だった。でも彼らがやってきてからは話は別……。
さてどうしたものかと思っていたら、彼らはアルバイトをして生活を支えてくれたのだ。
ただ、あの子たちが稼ぎ出す金額の方が上だってのが複雑なんだけど……。
アパートが見えてきた。
いつも私が帰宅するときの、あの二人の喜びようと言ったら……。
思わず笑わずにはいられない。二人ともとても素直。かわいい。
かわいいはずだ。私の元ペットなのだから。
にやけ顔をどうにか戻した、その時だった……。