・・・と、ここで少し時間を戻ってみよう。
よしきと別れ神社に向かって走る千田。
と、いきなり一陣の風が吹き、目の前に妖艶な女性が現れた。
千田「妃皇子さん・・・・」
千田の足が止まった。
妃皇子「そんなに急いでどこに行くの、坊や?」
かすかに笑みを浮かべる口元が妙に色っぽい。
千田「どいてください・・・といっても無駄ですよね。」
木刀を握る手に力が入る。
妃皇子「わかってるようね。なら話が早いわ。」
千田「あなたには・・・もう一つ許せないことがあります。
何故・・何故恵ちゃんを利用したんですか?!」
妃皇子「あの女が坊やに惚れてたからよ。
私はただ二人の恋路の手助けをしただけ・・・それだけよ。
それなのに、みすみすそれを無駄にするなんて
坊やも相当の馬鹿ね。」
冷ややかな笑みを浮かべる妃皇子。
千田「許せない・・・許せない!!」
不意に千田は木刀を横に払った。が、よけられ空を切った。
妃皇子「どうしてもここを通りたいのなら、私を倒すしかないわよ、坊や。
でも、私をただの催眠術師だと思ったら大間違いよ。」
と、妃皇子が空に手をかざした。
するとそこに先の尖った氷のようなものが無数に出現した。
妃皇子「ハッ!!」
妃皇子が腕を振り下ろすと、その無数のアイスピックのような結晶が
千田めがけて飛んできた。
千田は木刀を使いつつ、それらをかわしていく。
と、一つの結晶が木刀の脇をすり抜け
千田の顔めがけて飛んできた。
千田「ウワッ!!」
よけれないと思い目をつむった千田だが、
次に瞬間結晶は千田の目の前で音をたてて割れた。
と、千田の足元に千枚通しが突き刺さる。
どうやらこの千枚通しが結晶にあたり、結晶が砕けたようだ。
妃皇子「誰だっ!!」
妃皇子が空を見上げ、千田もそのほうを見上げた。
+++「そのケンカ、俺に買わせてもらおうか・・ってね。」
屋根の上付近から、若い男の声がした。
一体この声の主は、敵か?それとも味方か?
つづく