元吉「おやおや、どこの賊かと思ったら親分さんじゃありませんか。」
番頭の元吉が部屋の出口に立ちはだかっております。
恵「アンタは・・・・番頭の元吉!!」
十手を構える恵。
元吉「その鍵をどうするつもりですか?返答によっては・・・」
部屋に入り、ふすまを閉める元吉。部屋は闇に包まれる。
恵「あ、あんた達の悪事は全て聞いたわ。観念しなさい!」
元吉「どうやらお話しても無駄のようですね。ならば!!」
十手を持った手首をつかまれ、恵は後ろから羽交い絞めにされた。
恵「うぅっ!!!」
手首を強く握られ、恵は十手を落としてしまった。
元吉は恵の耳元でささやく。
元吉「よくよく見ればあなたもなかなかの上玉じゃないですか。
なんならあの牢の娘達と一緒に南蛮に売り飛ばしてやりましょう。
でもその前に、品定めをしないとねぇ・・・・」
元吉は恵を押し倒し、その上に馬乗りとなった。
恵「ち、ちょっと・・・や、やめて・・・あっ!!・・・そんなことしたら・・・・
そんなことしたら、あたし舌かんで死んでやるから!!!」
元吉「やかましい!!素直に言うことを聞けば悪いようにはせん!!!」
襟元が乱れ、恵の白い肌があらわに・・・・
恵「いやぁ〜〜〜〜〜っ!!!」
恵、絶体絶命の危機!!!
・・・・・・と、ここで元吉の手が急に止まった。
そして、恵の上に倒れこんできたのであります。
恵「な・・・・・」
何が起こったかわからず呆然とする恵。
と、元吉の肩越しに黒装束を身にまとった影が見えたのであります。
手には銀色に光るかんざし。その先は鋭く尖っておりました。
全てが黒き衣に包まれているが、ただ一箇所
鋭い目だけが闇の中で二つ光っておりました。
めぐみ「あ・・・・あなたは・・・・・」
突然の出来事に恵は固まってしまっております。
しばしの静寂の後、低い声が部屋に響いたのでありました。
千兵衛「『闇夜の九官鳥』・・・・推参・・・・」