きよく!ただしく!!

元六・ヱ戸時代編 第参話「闇夜の九官鳥」

元吉「おやおや、どこの賊かと思ったら親分さんじゃありませんか。」

番頭の元吉が部屋の出口に立ちはだかっております。

恵「アンタは・・・・番頭の元吉!!」

十手を構える恵。

元吉「その鍵をどうするつもりですか?返答によっては・・・」

部屋に入り、ふすまを閉める元吉。部屋は闇に包まれる。

恵「あ、あんた達の悪事は全て聞いたわ。観念しなさい!」
元吉「どうやらお話しても無駄のようですね。ならば!!」

十手を持った手首をつかまれ、恵は後ろから羽交い絞めにされた。

恵「うぅっ!!!」

手首を強く握られ、恵は十手を落としてしまった。
元吉は恵の耳元でささやく。

元吉「よくよく見ればあなたもなかなかの上玉じゃないですか。
   なんならあの牢の娘達と一緒に南蛮に売り飛ばしてやりましょう。
   でもその前に、品定めをしないとねぇ・・・・」

元吉は恵を押し倒し、その上に馬乗りとなった。

恵「ち、ちょっと・・・や、やめて・・・あっ!!・・・そんなことしたら・・・・
  そんなことしたら、あたし舌かんで死んでやるから!!!」
元吉「やかましい!!素直に言うことを聞けば悪いようにはせん!!!」

襟元が乱れ、恵の白い肌があらわに・・・・

恵「いやぁ〜〜〜〜〜っ!!!」

恵、絶体絶命の危機!!!

・・・・・・と、ここで元吉の手が急に止まった。
そして、恵の上に倒れこんできたのであります。

恵「な・・・・・」

何が起こったかわからず呆然とする恵。
と、元吉の肩越しに黒装束を身にまとった影が見えたのであります。
手には銀色に光るかんざし。その先は鋭く尖っておりました。
全てが黒き衣に包まれているが、ただ一箇所
鋭い目だけが闇の中で二つ光っておりました。

めぐみ「あ・・・・あなたは・・・・・」

突然の出来事に恵は固まってしまっております。
しばしの静寂の後、低い声が部屋に響いたのでありました。

千兵衛「『闇夜の九官鳥』・・・・推参・・・・」


Otogi Story Index - シリーズ小説 - きよく!ただしく!!